いつの間にか紺庄先輩と昼飯を食うのがオレの中での毎日の楽しみになっていた いままで学校に来てもケンカしたり噂の対象になるだけで全然楽しくないと思ってた でも家の事もあるし中学出たら働こうと思ってたオレを親がわざわざ苦労して入れてくれた高校だから勉強は頑張った授業こそサボってはいるけどちゃんと毎日登校はしてた 幸運な事に成績さえよければ結構出席については工面してくれてた 先生たちも下手にオレみたいな不良に授業出られても困るんだろ… オレにとって学校はキャリア(っつってもそんな立派なもんでもねぇけど)に書くために最低限度の事をこなす場になっていた でも紺庄先輩は違った オレの事を噂や見た目で判断しないし(まぁ知らなかったんだろうけど)、オレを知ってからも普通に接してくれるし、褒めてくれる… だから嬉しかった 今まで勝手に寄ってきてくっついてきてたやつはいたけどロクに友達もいなかったからこういう感情を「尊敬」とか「友情」って言うんだと思った 「……やっぱ…ムリ」 「………」 「……残しちゃ、ダメ？」 「………」 …じゃあこれもか…先輩が目を潤ませて口を尖らせて上目づかいで「ダメ？」って小首をかしげるのを見てドキドキするこれもそれか… 「別にいいよ？よく学にもやられるし？」 「学…さん…にッスか？」 「うん」 「そ…ッスか…」 頬についたものをとっさに拭ってしまって気恥ずかしくなってたら 学さんにもやられたって聞いてなんだかがっかりするのもそうなのか…？ …わからない…友達のいないオレにはわからない… 「くっそ…」 こんなにもやもやするのもそうなのか!? って言うか紺庄先輩って学さんのことが好きなんじゃね？ 良く考えたらいっつも話す内容は学さんの事ばかりだし、最近は頬付先輩のことを優先させるためになくなったらしいけど前は頻繁に二人で遊びに行ってたらしいし、このあいだ少しさみしいとか言ってたし… やっぱりそうなんじゃね!? …くっそ…なんでだ…イラつく… イライラしてどこかに移動する気にもなれず紺庄先輩が「かっらあげ～♪」って歌いながらスキップで去ってった後も校舎裏を動かなかった 「……………くっそ…」 わかんなくなって寝転がる 遠くでチャイムの音が聞こえる…授業、始まったんだ…紺庄先輩間に合ったかな… 最近気づけば紺庄先輩の事ばかり考えてる 先輩は何時に起きるのかなとか、飯なに食っただろとか、電車で通ってるのかなとか、家どこだろとか、兄弟いるのかなとか、今日聞いてみようかなとか…弁当何入れたら喜んでくれるかな…とか…… 紺庄先輩の事を考えているとなんとなく幸せだった でも先輩の事を考えてると必ず学さんが出てくる…一緒に何したのかなとか、かわいいのかなとか、今も一緒なのかなとか、オレの方がきっと料理はうまいなとか……オレといる時とどっちが楽しいかな…とか…… で、いつも気持ちが沈んでいく ………難しいな…人と付き合うのって… 最近ホントそう思う、こんなんならもっとちゃんと人付き合いしとけばよかった… 中学上がってからなんてまともな付き合いしてたのなんか家族ぐらいだ バイト先も学校も必要最低限の事しか話さなかった 考えれば考えるほど嫌になってく… 「……明日…唐揚げ喜んでくれるかな…紺庄先輩…」 「…健斗？」 いきなり声が降ってきて目を開けて起き上がる 声の方を見るとピンク色の髪の背の高い見覚えのある男が立っていた