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健斗くんの話 好きですか?

「……たける?」 「……………」 家に先輩が来たときはびっくりした… 姉貴と先輩が知り合いだって知った時はもっとびっくりした… もう良くわかんなくなって奥の部屋に閉じこもった 「来ないでください…」 またなにか言ってしまいそうで怖かった 自分を制御できなかった 「…たける…ごめんね…」 「…は?」 「昼…おれ、なにか言っちゃったんだよね?…ごめんね」 違う…オレが勝手にやきもちを焼いてかってに………ってやきもちだったのか…… 「別に…先輩は悪くないです…」 「じゃあなんで?」 「自分が嫌なんです…」 我慢できなくて自分が抑えられなくて先輩を傷つけたくなかった 「また一緒にお昼食べようよ…」 「……むりです…ダメなんです…」 「……やだよ…猛と一緒に食べたいよ…」 チラッと先輩を見ると先輩は泣きそうな顔をしてた …またそんな顔でそういうことを言う… また変な気持ちになる…そんな顔で見ないでくださいよ… また抑えられなくなる… 「…いいんですか?」 「……え…」 「先輩と一緒にいるとこういうことしたくなるんです、自分でもおかしいってわかってるけど止められないんです」 いつの間にかオレは先輩を押し倒していた あ…ダメだ… 「だから…だからやめてくださいよ…帰ってください…」 「…………………………いいよ…」 「……え…」 「………猛にならそういうことされても良いよ…」 先輩がオレの事を見上げて言う 「……だから…そんな顔しないで…泣かないで…」 「…え…」 先輩の顔に水滴が落ちて行く あれ…なんでオレ泣いてんの… 気づいたら溢れてきて止まらなかった、もう何年も泣くなんてことなかったのに… 「………また一緒にご飯食べようよ」 先輩が袖でオレの目元を拭った そのまま先輩の細い体を抱き寄せる、先輩は抵抗しなかった 「……………好きです…」 「………うん」 先輩の腕が背中に回ってる…先輩はどう思ってるんだろ… 先輩はミルクみたいな…赤ちゃんみたいな匂いがした キスしても良いかな… 一度体を離して先輩の顔を覗き込むと真っ赤だった ………かわいい… そのままゆっくり顔を近づける 「………ん……」 先輩はやっぱり拒まなかった …調子に乗りそうなんすけど… そのまま先輩の柔らかい唇を割ってそろそろと舌を差し入れる 「……ん…んぅ…ふ、ぁ…っはぁん……」 うわ…先輩舌絡めてる… 気持ち良くってふわふわした幸せな気分になる、やっぱりオレ紺庄先輩のこと好きだなぁ… 激しく舌を絡めてくちゅくちゅと唾液を交換する、あったかい 「…んぅ、はぁ……うぁ…」 ……でもまだ肝心な事を聞いてない… 一度ちゅっと唇を吸ってから離す、もし…もしこれでダメだったら…もう二度とできない……… 先輩のとろんとした顔が目に入る、肩ではぁはぁと息をしている …勃ったかもしんない 「……先輩は……どうなんですか……」 「……へ?」 「…その……好き…ですか…オレの事…」 「……………」 沈黙… 怖い…先輩の顔が直視できなくて目をつぶる…どうしよう、めっちゃ怖い… 体ががたがたと震えた その時何かが首に巻き付いた、顔の横にふわっとした感覚がある 目を開けると紺庄先輩がオレの首に抱き着いてた 「…………まだ良くわかんない…けど…」 また涙がでそうだった 「……多分好き…これからきっともっと好きになるよ…」 ぎゅうっと先輩を抱きかえす 涙が出た…なんでかわからなかったけど止まらなくてでもすごい嬉しかった 先輩はずっと泣かないでよって言いながら背中を摩ってくれた 「…それって…その…」 「……付き合ってる?」 「………ってことでいいんスか…?」 「……………うん」 「………………………もう一回キスしても良いッスか?」 「……いいよ」 それから先輩と何度もキスした 唇が痛くなるぐらいした 今までにないくらい幸せだった

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