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親友
あのあと翔さんに「帰ろっか」って言われて結局最後までヤらないままアドレスと番号再度交換して帰った
わざわざ翔さんはタクシーに乗せてくれた
「じゃあね!!」って言って笑ってた翔さんが心底嬉しそうで俺もちょっと嬉しかった
……いいんだ…結局銀とは付き合ってなかったんだし…
銀のことを思いだして少し胸が痛む
……知らない…別に俺は悪くない…あいつにとって自分は多少なりとも特別な存在だと勝手に思い込んでた俺がバカだった…
鍵も学校に忘れて仕方がないからもう結構夜遅かったけど健斗の家に泊めてもらった
「…学、心配したんだよ?メールしても電話しても返事ないし授業も出ないし昼休みも帰って来ないから…」
「ごめんごめん」
風呂借りて健斗の部屋でだらけてるときにそう言われた
「………で、どうだったの?」
「え…あー…まぁ、ね?」
あんまり思い出したくなくて曖昧な返事を返す
でも翔さんのおかげで確実に傷は浅くなってるように思えた
そんなときにスマホが鳴る
画面を見ると翔さんから電話だった
健斗の視線に背を向けて電話に出る
「あ、学?」
「はい」
なんとなくまなと呼ばれるのに抵抗があって翔さんに学って呼んでもらうように頼んだら翔さんは快く受け入れてくれた
「どうしたんですか?」
「いや、別にどうもしないけどどうかな~って」
…マメだなぁ
銀と一緒の時なんてほとんどメールも電話もしなかったたまーに来る電話やメールも『明日家な』とかホントに内容だけだった
「大丈夫ですよ?」
「そう、今日ありがとうね?じゃ、ちゃんと寝なね、おやすみ~」
「おやすみなさい」
「あ、やっぱ待って待って」
「………?」
「……ッチュ…学大好き?」
「……!?」
「じゃね、ほんとにおやすみ~」
そのまま電話を切られてしまった
……あれって…キスだよね…って言うか、好きって言われた…
顔が熱いこのままホントに翔さんを好きになれそうだと思えた
「ねぇ、今の誰?」
健斗が心配そうに顔を覗き込んでくる
今朝から今までの間に健斗からは沢山のメールと着信があった
……やっぱり健斗には言った方がいいかな…
それで俺は今日あったことを一通り話した
前レイプされた話まで全部話した
「大変だったね…」
「…………」
「でも…ほんとにいいの?」
「……銀を好きでいるの、疲れたんだ…」
「………そっか…」
「……………」
「……でも気を付けてね」
「うん…大丈夫だよありがとう」
もっといろいろ言われるかと思ったけど健斗は何も言わなかった
軽いやつだと思われたかな…まぁそう思われてもしょうがないんだけど…
……でも…今日翔さんにあえてほんと良かった
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