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チャンス
学から電話がかかってきたときは普通に嬉しかった意気揚々で電話に出た
「はい~?学?」
「…しょ、さん…」
電話越しの学の声は震えてた
ずっと俺の名前を呼んでる
そのうち嗚咽の音まで混ざりはじめてスマホを耳にあてたまま車のカギを取って家を出た
「え、泣いてるの?学今どこ?」
「………がっこう…」
「ちょっと待ってて」
飛ばして学校まで行くと学は校門のところでしゃがみこんで泣いてた
頭を撫でてたら落ち着いてきたのか泣き止んだ
「…しょ、さん…?」
まだ声を震わせて学が言う
「…なに?」
「しょうさん…俺の事…抱いて……」
いつかと同じような事を言われた
驚いて固まってたら学が体をオレに預けてきた
………また頬付クンかなぁ…
っていうかそうだよな…学校ってことはレイプとかそういう感じじゃないし
レイプにしては学きれいすぎるし…
…まぁレイプで学を散々ボロボロにしたのはオレだけど…
あの時はまさかこんなことになるとは思わなかった
一時の感情に任せて学を抱いてすっきりしてそれだけのつもりだった
もう実らない恋だと思ってそれなりの覚悟で臨んだつもりだった
だから俺は学と再会した時にちょっとからかってやろうぐらいの勢いだった
オレを見ておびえて逃げていく学が見れればいいやぐらいのノリだった
なのに学は逃げないし、いきなり抱いてとか言うしでよくわからなかったけど頬付クンと何かあったんだろうことぐらいはわかった
チャンスだと思った
頬付クンとなにがあったかはチャンスをふいにするのが怖くて聞けなかったけどそのままちょっと見栄を張って学をホテルに連れて行った
で、ヤった
正確にはヤってない、いくらオレがフェラしても扱いても学はイかなかったし
挙句の果てにキスも挿れるのも嫌がられた、頬付クンには勝てないかな~って思った
そう思ったら悲しくなっちゃって言うつもりなんてなかったのに告ってしまった
そしたらそれがなんとOKだった
嬉しいというか信じられなかった
俺は留年もしてるし、頬付クンほどルックスもよくないし、レイプの前科があるし言ったときは確実にフラれると思った
だからこれから挽回しようと頑張ってた
というかまだその頑張りを初めて少ししかたってないんだけどなぁ…
………オレフラれるのかなぁ…
とりあえず学を車に乗せた
そのまま発車させる
「……ん…」
「………ん?」
「…手……握ってほしい…」
「……ん」
弱ってんなぁ…
学の右手を握る
かわいいけどこれが頬付クン効果だと思うと妬けるなぁ…
学はオレの手をきゅうっと握ったままうつむいてた
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