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尻軽ビッチに用はありません
旅館は俺が思ってたよりずっと立派で大きかった
まだぼやっとしたままだった頭が一気に覚醒するぐらいの衝撃を受けた
中も広く立派で連休な事もあって人でにぎわっていた
「ほな、オレ受付行ってくるわ」
銀が受付に向かい俺らはロビーにあるソファーに腰かけて一休みしてた
ボーっと受付してる銀を眺める
周りにいるお客さんも受け付けのお姉さんもみんな銀を見ていた
わかってたことだけど少しムカッとする
挙句にさっきバスで一緒だった女子大生が銀に声をかけて腕を掴んでる
思わず立ち上がる
「ちょっと俺銀のとこ行ってくるから!!」
「…え、あ、はい」
「…………やきもち…」
健斗が何か言った気がしたけどそれを無視して銀のところまで大股で歩く
まだ女子大生の一団は銀に絡んでいる
銀はいつもみたいな薄い笑いを張り付けた顔でやんわり拒絶してる
なんだよ!!
「銀!!」
「あ、まな」
俺が声をかけると銀も女子大生も受け付けのお姉さんも一斉にこっちを見た
少しビビってしまう
「………え、っと…あの、早く…」
さっきまでの勢いがなくなってしまう
「へぇ~銀くんって言うんだ~」
「そっちの子は友達?あっちの子たちもでしょ~?」
「すごーいみんなレベル高ーい、旅行?お姉さんたちと一緒に遊ぼうよ!!」
女子大生のうちの一人が俺の腕にも腕を絡める
「っや…あの…離して…」
たじたじして銀に目をやると銀はニヤニヤ笑ってそのまま受付に向き直ってしまった、まだ女子大生は銀の腕に絡みついたままだった
イラッとして思わず銀の腕をつかむ
「銀!!」
「…なに?」
銀は余裕たっぷりでニヤニヤしたまま俺を見下ろしてる
「ほら…言わんとわからんで?」
「………あ、の……ヤダ……」
人がいると思うとどうしても恥ずかしくなってしまって声が小さくなってしまう
それでも銀は笑って俺の手を握り返してくれた
お姉さんたちはまだ向こうできゃいきゃい言ってる
気付いてないみたいだ
「ねぇ~?銀くん?お姉さんたちと行こうよ~楽しいことしよ?」
俺がいるのとは逆側にいるお姉さんが銀に体をすり寄せてる
すると銀は今まで強く否定していなかったのにその手をはらって
「あんたらみたいな尻軽ビッチに興味はないねん」
と言い放った
お姉さんが顔を赤くしてわなわな震えてそのままばつの悪そうに退散していくのが面白くて銀と顔を見合わせて笑った
銀が俺を大事にしてくれているのがわかって嬉しかった
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