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お友達じゃない‼︎【健斗、猛】
「見て、猛、たい焼き!!!」
紺庄先輩が上目づかいで目をきゅるきゅるさせて言う
「…さっき今川焼食べてませんでした?」
「それはそれ、これはこれ」
「ほとんど変わんないじゃないッスか」
「さっき食べたのはカスタードだもん、今度はあんこ食べるんだもん」
「………別にいいですけど晩御飯分のスペース残しといてくださいよ」
「わーい!!」
紺庄先輩がたい焼き屋に走って行くのをぼんやり眺めてからぐるっとあたりを見渡す
………旅行って感じだな…
オレたちはいま観光している
ついさっきまで頬付先輩や学さんとも一緒だったけれど学さんがどうにも腰が痛いらしくって別行動になった
学さんはちょっと旅行先で疲れたのかもって言ってたけどあれは絶対に昨日のアレのせいで腰が痛いんだ…
……アレのせいで…
耳に残った高い喘ぎ声と淫らに腰を振る学さんの姿を思い出して顔が熱くなる
「え~行こうよ~高校生なんでしょ~」
「や~んかわいい~」
たい焼き屋の方で騒ぐ女の声にハッとして我に返った
明らかにオレたちよりも年上そうな女が紺庄先輩に絡んでいる
紺庄先輩はたい焼きを三つも持って言い返してた
…………晩御飯分の空きを残しといてって言ったのに…
とりあえず先輩のほうにむかう
「先輩…」
「あ、猛…」
先輩はちょっと困ったような顔をしてた
っていうかこういう時ぐらいたい焼き口に突っ込むのやめてください…
「え、なになに?」
「やだ~カッコいいじゃない」
紺庄先輩に絡んでた女が品定めするようにみられる
あまりいい気はしない
「ねぇねぇ、行こうってば?」
「いいじゃん、ね?ちょっとだけ?お姉さんたちとお茶しよ?」
「だから嫌だよ!!おれ猛と来てるんだもん!!」
「だからお友達も一緒でいいってば~」
「お友達じゃないよ!!」
「「「…………?」」」
「?」
先輩が「お友達」という言葉が出た瞬間ムッと不機嫌になった
「おれの彼氏だよ!!!!」
「「「!?」」」
「!?」
ビックリしたいきなり何を言い出すかと思ったら…
その言葉を聞いて絡んでた女はそそくさとどこかに行ってしまった
紺庄先輩がこっちに振り向いて笑った
恥ずかしくて口元を手で覆う
「お友達じゃないよね?」
「……………はい…」
先輩がオレの手を握って嬉しそうに言う
あーどうしよ…かわいい…好きすぎる…
「たい焼き一個あげるよ」
「………ありがとうございます…」
その後も先輩と手をつないでたい焼きを食べながら観光を続けた
人の目はそんなに気にならなかった
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