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手【健斗、猛】

その後もずっと先輩と手をつないだまま周った 家族に土産を買った時も、先輩が変なお面を買ったときも、何度か女に絡まれた時もずっと繋いだままだった 先輩の小さい手に時々きゅうっと力がこもるのがなんともかわいかった 「もうすぐ晩御飯の時間だね…」 「そうッスね、学さんたち探してかえりましょうか」 夏だからまだそれほど日が落ちているわけではなかったがとりあえず学さんたちと合流することにした もともと観光できる範囲がそんなに広くないし、どちらにしろ学さんのあの腰じゃ遠くへはいけないから歩いて探す 「いないね」 「いないッスね」 ただどんなにその広くない範囲を探しても学さんと頬付先輩は見つからなかった 「猛、スマホは?おれ旅館に置いてきちゃった」 「あ、電話しますね」 先輩に言われてスマホを出して学さんに電話を掛ける でも出ない… ……………何やってんだろう… 電話を切ろうとしたとき、すぐ近くで着信音が聞こえた 今オレたちがいる店の裏側から聞こえる 「あ、学のだ!!」 音を聞くなり紺庄先輩はぱっとオレの手を離して音の方へ走って行ってしまった ………ちょっと残念… とりあえずオレも電話を切って先輩の後を追った でも紺庄先輩はなぜか途中でUターンして戻ってきてしまった オレの服の裾を掴んで顔を真っ赤にしながらなぜか首をふるふると横に振っている 良くわからなくて先輩に声をかけようとしたとき店の裏から声が聞こえてオレは固まった 「……ぅ、ン…はぁん…んゃ…」 「……………」 しかもその声にまじってクチュクチュと唾液の交わる音も聞こえる ………この声… 「……ん、っや…んぁ…ぎ…ん…んぁむ…」 紺庄先輩がオレの服の裾を掴んだままオレの背中にぎゅうっと顔を押し付けてくる そーっと店の裏を覗くと案の定、頬付先輩に噛みつかれるように唇を吸われる学さんがいた 学さんは頬付先輩にしがみついて目に涙を溜め口の端からよだれをこぼしている 頬付先輩も学さんの唇を吸うのに夢中で二人ともこっちには全然気づいていなかった まぁ頬付先輩はあえて気づかないフリをして見せてるってことがあるけど… 二人とも口を大きく開いて水音をたてながら舌を絡めていている 「………なにやってんスか…先輩…」 「……………」 「……ん?何って…キス?」 大きく息を一つ吐いてから声をかけると頬付先輩が顔を上げてなんでも無いように答えた 学さんもくたっとしてうつろな視線をこっちによこした 学さんの顔がみるみる赤くなっていく 「……そんな見りゃわかんだろみたいな感じで言わないでください!!」 「だって見たらわかるやろ?」 「もう学さんへろへろじゃないですか!!」 こっちも恥ずかしくって顔が赤くなる 学さんは腰が抜けて自分じゃ立てないみたいで顔を真っ赤にしながらもずっと頬付先輩にしがみついていた それでもどうしても恥ずかしいらしく頬付先輩の胸に顔を押し付けて隠れてしまった くっそ…また見せつけられた… その後も立てない学さんを頬付先輩はおぶって旅館まで帰った 周りの視線をうけて学さんは相当恥ずかしそうだった

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