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後処理

次の日朝起きたらおれは一人で寝てた ぶかぶかの浴衣を申し訳程度に着せられて布団をかけられている 頭がフラフラする?腰が痛い…体が上手く動かない… 「……たける…」 少し心細くなって小さく猛の名前を呼んだ 「先輩!?起きました?」 「…猛…」 首だけ巡らせると歯ブラシを持ったままこっちを覗く猛が見えた 小さな声で呼んだだけなのに気付いてきてくれたことが嬉しかった 猛が枕元に座って頭や頬を撫でてくれる気持ち良くて再度寝てしまいそうになる 体が重い 「先輩…体辛いですか?ごめんなさい…あ、まだ眠かったら寝てていいですよ、飯の時間になったら起こしますよ?」 「………のど…乾いた…」 「あ、今水持ってきますね」 その後も猛はいろいろ世話してくれた 結局立つのがやっとでしばらく歩くのも辛いから横になってた いたた…学が月曜に腰痛そうにしてたのってこれだったんだな… 「頬付先輩たちも準備できたみたいなんで朝飯食べに行きますけど先輩どうします?どうしても辛かったらオレも一緒に残りますよ?」 「…ううん、行く…お腹すいた」 体を起こす、まだちょっと体が痛いな… そこでいいことを思いついた 「……猛…」 「はい?」 「こっち来て」 「…?はい」 「しゃがんで」 「……?…」 言う通り猛がしゃがんでくれる そのまま猛の背に抱き着くように乗る 「……いいよ」 「…………歩けないんすか?先輩?だったら一緒に残っ…」 「やだ、お腹すいた」 そう、お腹がすいた どんなに体が痛くても辛くてもご飯は三食きっちり食べたい きゅるるっとお腹が鳴る音が響いた 猛がはぁっとため息を吐くのが聞こえる、耳が真っ赤になってた 「猛、嫌?」 「嫌じゃない…です…」 「じゃ行こう?ご飯なくなっちゃうよ、おれお腹すいた、卵焼き食べたい」 ホントは歩くぐらいなら少しだるいけどできなくない でも昨日学が銀におぶられてたのがちょっと羨ましかった、ナイショだけどね 体がダルイのはほんとだしちょっとぐらい嘘ついても罰は当たんないでしょ 「ねー行こう?猛お味噌汁何がいい?おれなめこと豆腐とわかめのがいいなぁー」 「…オレは玉ねぎと芋のが良いです」 猛の背中はなかなか居心地がいい 暖かいし大きいし身長が高くなったみたいで気分も良かった そのまま猛はおぶって朝ごはんに連れて行ってくれたいろんな人に見られたけど気になんてなんなかった 朝ごはんが食べれるレストランに行くと銀と学はもう席に付いてた 学はフードをかぶったままソファに横になってて恨めしそうにこっちを見てる 「………なんでお前らもなんだよ…」 「……?」 「なんでお前らもおぶって来てるかって言ってんだよ!!」 「なんで怒ってるの!?」 学はすごぶる体調が悪いらしくって銀におぶられてきたらしい 銀はずっとげらっげら笑ってた 「オレの膝、まくらにしてええよっていっとるのに」 「公共の場でそんな事できるか!!」 「昨日公共の場でちゅーしたのまなやん」 「…あれは!!……しかた、ない……」 学はずっとフードを引っ張って顔を隠してた なんで恥ずかしがるんだろう…膝枕してもらったらいいのに? 前しずちゃん先輩や他の子がしてくれたことがあったけど膝枕ってすごく気持ちいいんだよ!! そんな学と銀を見ながら猛が持ってきてくれたご飯を食べた やっぱり立派な旅館だけあったおいしかった ……まぁ猛のご飯の方がおいしいけど… 腹がいきなりグルグル言い出したのは一皿目を半分も食べてないぐらいの時だった 「っ!?おれっ、トイレ!!」 体が痛いのも忘れてトイレに走った お腹が……痛い? 「………猛……後処理せんかったやろ」 「……後処理?」 後ろからそんな会話が聞こえた気がしたけどそれを気に留める暇はおれにはなかった

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