8月17日… 「………」 今俺は銀の家のドアの前にケーキを持って立っている なかなかチャイムを押す勇気が出なかった というのも今日、8月17日は銀の誕生日だった 俺はそれをすっかり忘れていて今朝銀に「家に来い」と言われ、ここに向かう途中でそのことに気づいた… で、大慌てでケーキだけは買ってきた…近くのケーキ屋で無難なショートケーキを買っただけだけど… 銀になんて言おう…… 正直に言って謝る？ このまま元からケーキだけ渡すつもりだったことにして誤魔化す？ とにかく結構気が重かった… その時ゴンッと頭に衝撃が走った 目の前がチカチカする… 「あれ？まな、来とったん？来とったならチャイム押してくれたらええのに」 「あ、っや…今来たばっかりだから…」 「そう？中入り？熱いやろ？」 こうして俺は決心がつかないまま銀の家に入らされた とりあえず銀にケーキを渡す、すると銀は嬉しそうに眼を細めてありがとうと言ってくれた 余計胸が痛かった… ……やっぱ…誤魔化すのはよくない…よな… 忘れてた俺が悪いわけだし… 「あの…銀…？」 「ん？なに？」 「あの、さ…」 「？」 「ゴメン…」 「…………？」 とりあえず誕生日を忘れてしまっていたことと謝罪の意を伝えた そーっと銀の顔を見上げると銀が悲しそうな顔をしていて焦った 「ホントごめん…でも!!ちゃんと今度埋め合わせするから!!」 「……ええ…いらん…」 銀は大きくため息をついてソファに座ってオレに背を向けてしまった どうしよう… 銀の悲しそうな顔が頭から離れなくて どうにかしようと必死だった 「っや、今日さ、銀の言うことなんでも聞くから!!だから…」 「言ったな？」 「へ？」 「オレの言うことなんでも聞くんやな？」 「…………」 銀がニヤッと笑って俺の顔を見た やば…俺……しくった…？