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不似合カップル

「………え?お、おぉおおおぉおぉ!!!紺庄!?」 「え、ヤバいわ、超可愛い」 「俺抱けるわ…余裕で抜ける…」 銀を囲んでた女子がある程度捌けていなくなった時に入口の方で歓声が上がった 銀の周りの数人の女子もそっちに寄って行く それを見計らって銀がこっちに寄ってきた 「なにあれ?なしたん?」 「知らねえよ、銀が見えない物が俺に見えるかよ…紺庄って言ってんだから健斗だろ」 「あぁ、学ちっこいもんな」 「お前がでかいだけだよ!!」 そんなやり取りをしてたらその人の壁がちょっとづつ移動してきて少しだけその壁の中心が見えた え、なにあれ… 人の中心はめちゃくちゃ可愛く女装した健斗だった 実は結構好みなタイプだったかも…なんて… 「おー健斗や、すごー…よく化けるなぁ」 「普通にかわいいって言えよ…」 「そう言ったらまなやきもち妬くやん?」 「っや、妬かねえよ」 健斗は確かにかわいかった ちらちらとしか見えないけど化粧もしてかつらも付けてるみたいだった 声も少しだけ聞こえる 「これなんか変な気分になりそうだわ~」 「な~紺庄肌すべすべだしさーコレ剃ってんの?」 「え…別に…なにも……っちょ、触んないで…」 「え~天然かよ~男なのもったいねーわ」 「紺庄お前下もつるつる?」 「それはないだろ~」 「だよな~」 なんかちょっといやらしい会話だった 健斗も嫌がってるみたいだし…助けてやった方がいいかな でも人多いしな… そんなこと思ってるうちに隣にいた銀がスッと人垣に寄って行った 「もうやめときや」 銀が健斗を人の中から引きずり出してるのが見えた でもあっという間に人に阻まれて微妙にしか見えなくなる 健斗は銀の胸の中に納まってほっとした表情を浮かべてた 安心したと同時に少しだけ嫌な気持ちになった …………?… それがなんでかイマイチわからなかった ただ銀が健斗を抱いているのが無性に嫌だった、無意味にイライラが募る 「でもさーお前らめっちゃお似合いじゃね?」 「おー確かに!!」 「身長差ありすぎだろ、30cmはあんぞ」 「ちゅーすんの大変やなぁ~」 笑いが起きる 銀が言ってるのはもちろん冗談でそんなことする気が銀にも健斗にもないのは十分わかってる…でも… 体の中のもやもやが大きくなった気がした なんか……なんかやだな… 「や、でもほんとお前らなら男同士でも許せるわ」 「ほんとほんと~美男美女でお似合いだよ」 男同士って言葉にドキッっとする ………確かに似合ってるなぁ…遠巻きに銀と健斗を見て思った身長の感じも声も雰囲気も…健斗の方が俺よりずっと似合ってる… もやもやがどんどん大きくなっていく あ、きっと俺今すごい嫌な顔してる… 俺はきっと銀と不似合なんだろうなぁ…

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