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大人気クラブ
「いらっしゃいませー」
「…いら、っしゃい、ま、せ…?」
「………杉田硬すぎない?」
「………ゴメン…」
学祭が始まった朝生徒だけで集まって開祭式があってそこから一般公開も始まった
朝から俺らのクラスは大繁盛だった
他クラス多学年からポスターを見た女子の山が押しかけ、廊下を女装で歩く健斗につられた男子も大量に来た
今やもううちの学年で一番人気のクラスになってもう45分待ちだ
チラッと後ろを振り返る
教室の右奥と左奥に二つ人垣が出来上がってた
「きゃーもう今日の頬付クンほんとかっこいー」
「ワックスついてる方がいいってーいつもワックスつけてきなよー」
「えーワックス持ってないの!?」
「じゃー私が毎日やってあげるからさ!!」
「えーなにそれずるぅーい!!」
「あたしもやりたーい!!」
「私が先だもん!!」
甘ったるいにおいをまとい黄色い声が飛ぶ左端
「うっわ声までかわいー」
「こんな奴このクラスいた?」
「ねぇねぇ休憩時間暇?だったらオレと回らない?」
「はぁ!?お前何抜け駆けしてんの!?」
「うっせ、早い者勝ちだろ!!」
むさ苦しい男だらけでぎゅうぎゅうになっている右端
中心はもちろん銀とコンちゃんこと健斗(女装)だった
それ以外はハッキリ言って客がいないと言ってもいい
二人とも初めは全然乗り気じゃなかったのにもうノリノリじゃん……
人の間からチラッとだけ銀が見えたたまたま銀と目が合う
「あーまな、コーラ持ってきて?」
「………わかったよ……」
渋々厨房と言う名の冷蔵庫まで飲み物を取りに行った
だって俺やることないし?
「はい」
「ちゃうやろ?お待たせいたしましたやろ?」
「………お待たせいたしました」
「せや、他にすることないんやしまなもおしゃべりしよや」
「っわ…」
「えー杉田クンもー?」
「私、頬付クンの隣がいい~」
と銀が俺を自分の隣に座らせたとたん大ブーイングだった
「いやや〜、オレまなと一緒やないとやりたくないもん」
「もぉ~仕方ないなぁ~」
「頬付君ワガママ~でもそんなところも好き」
「ホント仲良いんだね~」
それでもみんな銀の笑顔にコロッと騙されてた
女子がうっとりしながら銀を眺めてため息をついている
ちょっと妬ける…
俺も女子なら良かった………そうしたら今よりは銀と似合うのに…
そう思ってると銀が背中とソファの背の間にかくして俺の手を握ってきた
はっとして銀を見るとニヤッと笑ってた
……………ばれるだろ……
手を捻って脱出しようとしても銀はより手を強く握るだけで離してもらえなかった
………でも……なんか…
顔が熱くなってるのが良くわかる
照れくさくてこんなこと絶対言えないけど嬉しかった
銀の手をそっときゅっと握り返した
銀が満足そうに笑ったのが見えた
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