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魔法
健斗…大丈夫かな…
昨日あのまま健斗はしずみっぱなしで学祭の食べ物も楽しみにしてたのに何も食べないままだった
ぼーっとそんなことを考えながら銀と一緒に学校まで行った
教室にはどよーんと重たい空気をまとった健斗が一人でいた
「あれ?まだ健斗しかおらんの?」
「…うん」
「ふ~ん?準備は?」
「…おれ一人じゃお化粧できないし…」
「じゃあやったるわ、着替えて来い」
「銀…化粧できんの?」
「んー、まぁちょっとだけなら?」
銀が教室に置いてあった女子の化粧ポーチを準備している間に健斗は教室の隅で昨日と同じ薄ピンクのドレスに着替えて戻ってきた
背中のファスナーを上げてやる
「健斗大丈夫?」
「あ、うん…」
まぁ…幼児帰りしてない辺り昨日よりは大丈夫そう…
「健斗こっち来い、ココ座り」
銀が健斗を自分の目の前に座らせて化粧をし始めた
母さんが昔してるのを見たことある、なんか肌色になるやつを塗って、肌色になる粉つけて…何が違うんだ?
良くわかんないけど銀はうまいんだと思う目の周りに線引いたりするの難しいって女子が言ってた
それに心なしか健斗も昨日より可愛く見える気がする
最後に唇がピンク色になるやつを塗って完成したくりっとしたかわいらしい女の子だった
「髪はコテないとできんし女子にやってもらい」
「うんありがとう…」
でもほんとすごいな~化けるってホントだな~
母さんが「化粧とオシャレするだけで10歳は違うのよ!!」って言ってたのは案外嘘じゃないかもしれない…
母さんに化けるって言ったら「魔法って言って?」って言われたけど…もうじき50だって言うのに何を言ってるんだか…
でも確かに魔法ってぐらい化けるな~
猛はどうなんだろう?
昨日猛の教室も覗いたけれど猛はいなかった
猛に限ってホントに健斗が嫌になったなんてことはないと思うけど…
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