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あと30分
2日目
今日は11時半ちょっと前に体育館に行くだけで良いらしくて午前中は篠田先輩を除いた先輩たちと学祭を見て回った
篠田先輩は彼女さんと一緒らしい
先輩たちのクラスも行ったしオレのクラスにも顔を出すだけ立ち寄った
また女に囲まれて困った
昨日のこともあるしそわそわして落ち着かなかった
そうやって短い時間でまんべんなく学祭を回った
中学の時は学祭なんてサボってばっかりだったからちゃんと回るのは初めてで楽しかった
………紺庄先輩の事がなければ…
自分で傷つけたくせに問題を先送りにして…先輩を不安にさせた…そんな自分に腹が立ってしょうがなかった
「なぁ、せっかくだし彼氏ちゃんのクラスも見るだけ見に行こうぜ!!あそこ面白いことやってるらしいし」
鈴木先輩の提案に他の先輩がオレを見る
「……別に…見るだけなら…」
紺庄先輩からは女装するとは聞いたけど何やるかは聞いてなかったから少し気になっていた
先輩たちについて2‐3の教室まで行くとすさまじい長さの列の先に45分待ちの札があった
……遊園地のアトラクションじゃあるまいし…
45分は待てないし見るのが目的なので列を追い抜いて教室のドアから中を覗いた
中には大きな二つの人の塊ができてた
「っね?ここってなにやってるの?」
鈴木先輩が列に並んでいる女の子たちに声をかけた
先輩はしばらくその女の子たちと話して戻ってきた
「疑似キャバクラ・ホストクラブらしいよ?」
「キャバクラ?ホストクラブ?」
「うん、なんかそこのツートップの片割れが猛の彼氏ちゃんみたいよ?」
「………」
「もう一人はなんかすごいカッコいいやつらしい?転校生なんだって~、ほとんど半分はその子のかっこよさについて語られた……」
「………」
隣で早瀬先輩が「頬付…」と呟いて苦笑いしたのがわかった
それよりも紺庄先輩が他の男に囲まれてるののほうが気になった
…………
何とも言えない気分になる…
「行きましょう…」
「っえ、猛?」
先輩たちより先に踵を返して教室から離れた
先輩はオレの彼氏だ…
今はちょっと気持ちがすれ違ってるだけ…それだって今日で終わらせる…
ちゃんと謝って好きって言って気持ちを伝える…
ライブまであと30分…
先輩は絶対来てくれる…
決意を固め直して早足に体育館に向かった
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