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文化祭おまけ 怖い

「くそっ…休憩時間ほとんど残ってないじゃんか!!」 「だってまなおいしかったんやもん」 「何言ってんだ!!」 「いてっ!!」 廊下でとんでも発言する銀を小突く くっそ…こいつはほんとに… 「だーいじょうぶやってまだ3分の2は残っとるって」 「3分の1も俺らはなにに使ってんだよ…」 「補給」 「違う!!」 そんな事を話しながら廊下を歩いた 「飯はもうちょっと後でええなぁ、なんかどっかのクラスの入るか」 「…もう知らん…」 「まな~不貞腐れんでや~ほら、ここ入ろ、ここ、楽しそうやん?」 「…………っえ…ここ…?…」 「そそ、ここ」 銀に丸め込まれた感があって癪だったけど銀の指さす方を見たらそんな思いもどこかへ行った これは… 「銀…これって…」 「ん?お化け屋敷」 「…………」 そこのクラスの企画はお化け屋敷だった 教室を真っ黒な布で覆っていろいろ怖そうな人形や手の模型を下げてる 生徒もみんなおばけの仮装をしてた 「っや、銀…ここは…ちょっと…」 「なに?まな怖いん?」 「こ、怖くはないけど…」 「じゃあええやん、いこ?」 「っあ、っわ、待って!!銀!!」 「お二人様ご案内でーす!!」 「とびっきり怖くしといて~」 「はーい、レベル3ですね~」 「銀!!」 銀にぐいぐい押されてあっという間に中に押し込まれてしまった 中は真っ暗でところどころに細々とした明かりがついてる、入口の暗幕を下ろされたせいでそばにいる銀も見えないくらい真っ暗になった いつもここで生徒が勉強してるとは思えない出来だ… 銀はレベルなんてあるんや~なんてのんきな事を言っている 俺は実はこういうのがすごく苦手だった 幼稚園の時に旅行に行って父さんに抱っこされて入って怖くて漏らした時からだいっきらいだった お化け屋敷ももちろんだしホラー映画や漫画や本もだめだった 出来れば暗いところも行きたくない 怖いけど怖いことを悟られたくなくて銀の服の裾をきゅうっと握る あれ以来お化け屋敷とか入ってないけど…さ、さすがに漏らしたりはしない…よな? 高校生にもなって漏らしでもしたらあと1年とちょっと笑いものにされるのが目に見えてる… 大丈夫…さすがにそんなことは無い…はず… 別にトイレ行きたいわけでも無いし大丈夫…なはず… 一人でもんもんと考えてたら隣からじーっとレコードみたいな音が鳴り出して何か言い始めた 『ここには999人のおばけが住んでいます…みんな1000人目の仲間を待ちわびてます…1000人目はあなたかもしれません…っふっふっふ…』 「銀!!銀!!出よ!!今なら入口から出してくれるって!!銀!!」 「はいはい、大丈夫やって、あとまなそのくっつき方すごい重い…」 ダメかもしんない…漏れそう… 某有名遊園地のお化け屋敷と同じようなレコードみたいなものがぼんっと音を立てた瞬間怖いがってると思われたくないとかそう言うのが頭から抜け落ちて銀によじ登ってしがみついていた 戻ろうとしても銀に引っ張られる 「銀!!ぎんムリ!!暗い!!怖い!!ッヒ!!」 「大丈夫やって、今のまながそのビニール踏んだ音やから」 「見えない!!見えないよ!!っや!!銀なんか音するって!!」 「まな、まな落ち着き、なんもいないって」 「いるっ!!絶対いる!!」 近くで何か音がするだけで怖かった もう俺漏れそう…いやもう漏れてるかもしんない… むしろなんで銀が平然としてるかがわからなかった こういうの好きな人ってどういう神経してんだよ!!! 良くわかんなくなって八つ当たりする もう自分がどの地点にいるかもわからなかった とにかく必死に銀にしがみついてた

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