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愛菜とまな

「……で、誰との子なんだよ」 「だからそれひどない?」 とりあえず家に入れてもらって銀の部屋の座った もともと下半身の緩そうなやつだったし俺と付き合う前に彼女がいて実は娘もいましたなんてことがあっても不思議じゃない気がする… 女の子は俺と机を挟んで正面に座った銀の後ろに隠れてこっちを見てる 警戒してるっぽい… 「知り合いの子やって」 「いやいや、隠さなくても怒らないって…」 「なんで信じてくれんの!?」 〈銀の話によると〉知り合い夫婦が少しの間仕事で遠くに行かなきゃいけなくなったらしく一週間この子を預からないといけなくなったらしい 女の子はかわいらしい赤地に白の水玉のワンピースを着て髪を赤いぽんぽんのついたゴムで二つしばりにしてた 「こんにちは?」 「………」 少し顔を覗き込んで挨拶してみたが銀の影に隠れてしばらくしてまたこっちを覗きだした 恥ずかしがり屋なのかな? 俺は子供が好きだった 可愛いし、面倒を見たり一緒に遊ぶのは苦にならない方だった 一人っ子で兄弟が欲しいと思ってた事もあったし でも銀子供嫌いじゃなかったっけ? 「でもお前学校どうすんだよ?」 「んーまぁ、なんとかなるやろ?」 「なんとかって…」 「でな、こいつ名前まなって言うねん」 「は?」 「だからこいつの名前が吉野愛奈なんよ」 銀の後ろに隠れた女の子、吉野愛奈ちゃんが少しだけ頷いた まなちゃんは5歳らしい 「ややこしいからしばらくまなは学な」 「や、それはいいけど…」 相変わらずまなちゃんは銀の後ろに隠れたままだった 銀が立ち上がる 「いやーよかったよかった!!オレなガキ苦手やねん!!」 銀がまなちゃんを抱き上げオレのところに来て銀にしがみついて離れたがらないまなちゃんをむりやり自分から引き離して俺の膝に乗せた 「いや、いやがってんだろ、お前が抱っこしといてやれよ」 「いやや」 「そんな子供みたいなこと言うなよ」 「オレまだ子供やもん」 「188cmが何言ってんだ」 銀はそのまま俺にまなちゃんを預けて昼飯作ってくるわと部屋を出て行ってしまった 俺とまなちゃんが二人で取り残されてしまった まなちゃんは俺の膝に座ったままじーっとこっちを見ている 「えっと…初めまして?」 「………」 とりあえず声をかけてみるけど無反応だった 俺きらわれてんの? 「…………から…」 「…ん?」 困っているとまなちゃんが何か喋った 声が小さくて聞き取れなくて聞き返す 「…銀様はまなのだって言ってるの!!」 「………」 ビックリして言葉も出なかった この子…こういう子なんだ… 「いやまなちゃんのって…」 「嫉妬してるんでしょう?」 「え?」 「銀様が私の事まなって呼ぶから嫉妬してるんでしょ?」 「…………」 まなちゃんが勝ち誇ったようにフフンと鼻で笑う ……俺5歳児に鼻で笑われた…

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