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迷子?
「なぁ…まなちゃん遅くね?」
「ションベン漏らして恥ずかしくて帰ってこれんのんとちゃう?」
「だからそう言う事いうなって…」
まなちゃんが席を立ってからもう15分立っていた
ちょっとトイレにしては長い…
だってここのトイレはフードコート出てすぐにあるし長くても10分もかからない…
「俺見てくる…」
「大丈夫やって、てか女子トイレのなかどやって見んねん」
「でも…」
「…………」
何となくちょっと不安だった
別に俺の身内とかそういうわけじゃないけれどもしものことがあったらと思うとちょっと怖くなる
ちょっとうつむいてると銀が正面ではぁ…っと息を吐くのが聞こえた
突然銀が立ち上がる
「ほら、行くで」
「え、でもまなちゃん待ってないと…」
「そのまなを探しに行くんやって」
銀に手を引かれて立ち上がる
そのまま引っ張られてトイレの前まで連れてかれた
「ちょっと待っとって」
そう言うと銀はトイレから出て来た女の人に声をかけた
女の人は顔を赤くしている
そりゃトイレから出て来た瞬間に声かけられたらそうなるわ…
銀が女の人にまなちゃんらしい子を見なかったか、ずっと閉まってたトイレの扉は無かったかと尋ねている
「……おらんって…」
銀が戻ってきてそう言った
それって…
「え…」
まなちゃんは5歳だし5歳にしては賢い方だ、こんな距離で迷子って言うのは…
サッと血の気が引いた
「……探すで」
銀に手を引っ張られて走る
どうしよう…誘拐とかだったら…もしなにかひどいことになってたらどうしよう…
嫌な想像が頭をよぎった
「オレこっち行くからまなあっちな、人にも聞いてあとスマホ常に持っとくんよ」
「わかった」
そう言って銀と別れた
デパートの中を走る
銀がまなちゃんに人形を買ってあげたおもちゃ屋、絵本を買ってあげた本屋、俺の下着を買ったところから銀の服を買った服屋も見た
でもいない…
どこにいったんだ……
いくら強がってても5歳なんだ…怖い思いをしてるかもしれない…
そう思うといてもたってもいられなくてただひたすら走った
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