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借り物競走

くっそ…さっきのなんだったんだよ… 借り物競争に出る人たちが集められて一列に並べられる その中でさっきの事を思い出してイラついてた ほんと思い出せば出すほど腹立つ… ギリッと歯を鳴らした 良くわからないことをする銀にも腹が立ってたし何よりあのあとの行為をちょっと期待した自分に一番腹が立った 何がしたいんだよ… 「あ、学!!いたいた!!」 健斗が人の間を縫ってこっちに寄ってくる 「はー学いて良かった、学何番だった?俺3番目だったよ」 「7番…」 「…?学怒ってるの?」 「………」 「なんで?ねぇ怒ってるよね?なんで怒ってるの?」 「うっさい、縮め…」 「ひどい!!」 なんでそういう事言うのー!!って隣で起こる健斗を無視して自分の順番に並んだ 借り物競争は男女合同で毎年結構困るものが出ることで有名だった 好きな人、かわいい子、カッコいい先生、なんていう物からお姫様抱っこで、おんぶで、肩車でなんて運び方を指定される時もある 去年は確か健斗が「太陽」とか言う無理難題なカードを引いて迷いに迷った結果クラスメイトの弟の「太陽君」を連れてゴールしてた ………あれは連れてというか連れられてだったけど… 今年はどんなのが出るか楽しみな反面不安だった 「ねー学?学好きな人出たらどうする?やっぱぎ…」 「うわぁ!!やめろよ!!」 「あ、ごめん…でもさ、出たらどうする?どうする?」 「………お前は猛連れてくんだろ…」 「うん、約束した、猛前の方にいてくれるって」 バカップルめ… でもその話を聞いてチラッと銀を探した 銀はすぐ見つかった いろんな色の鉢巻をした女の子が密集してるところが一か所あった きっと…っていうか絶対それだ その中にひときわ高いピンク色の頭が見える なんとなく頭のどこかで思ってた通りで拍子抜けだった その時銀の顔が見えて銀がこっちを見た ドキッとする ……いや向こうが気づくわけないだろ… でもそのまま観察し続けると銀がにやーっと笑ったように見えた しかも指の先に唇を付けてふっとこっちに吹いて飛ばすような動作をする カァッと顔が熱くなった …………アイツ見えてるんだ… その後も銀はキスするような動作をしたり指の先でハートを描いたりしてた ………くっそおちょくられてる… 周りの女の子たちがなんか銀に話しかけても知らん顔だった しかもそんなキザな動作が似合ってるのが余計腹が立った

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