借り物競争やる高校生ってなかなかいないんじゃないのかな… 頭についたウサギの耳を落とさないように押さえながらカードに向かって走る 前に紺庄は見当たらないから後ろかな…スカート走り辛そうだったし 地面に置いてあるカードを取って内容をチェックした そこには… 『リア充【爆発しろ!!】(肩車)』 …………… これ書いたの誰だよ… でもとりあえずリア充を見つけて肩車で運ばないといけない 俺の周りのリア充… 一瞬猛の顔が浮かんだ でもあいつは紺庄の彼氏だし紺庄の事だから一緒にゴールしたがるんだろう その楽しみを取るのはちょっとかわいそうだ じゃああとは… もう一人思い当たる人がいる けどあのカップルはなんか… 「おい早瀬ー!!!早くしろよー!!!」 「うさーぎちゃーん!!!!」 クラスの奴らだ… まぁやるからには一位が欲しい それにそのカップルがいる場所はわかってるから探す必要もない… 「…はぁ…」 ベストを尽くせば俺は一位が取れそうだった 仕方ない… 「やーんれん君❤」 「あーかね♪」 「あ、れん君の後輩だよ？」 「おー早瀬ー……なんだ、その恰好…」 「えー可愛いじゃーん似合ってるよ早瀬君」 「きっと茜が着た方が可愛いよ♪着てなくても可愛いけどー」 「やーだれん君ったらもぉー❤」 目の前で盛大にイチャつくカップル いつもの事だけどイラッとするイチャつき方だ…猛のとこの方がよっぽどほほえましい… 「篠田先輩死んでください」 「なんで!?」 篠田先輩が彼女の茜さんを膝に乗せて抱きかかえながら返事する 「やだぁーれん君死んじゃったら私悲しー」 「大丈夫♪」 「れん君ちゅー」 「ちゅー」 「爆発してください」 「ひどい!!」 俺はなかなかこのカップルが苦手だった 篠田先輩も茜さんも単体ならいい人たちなんだけども二人一緒だと結構めんどくさかった いっつもこんな調子でイチャついてるか、こんな姿が想像できないぐらい激しいケンカをしてる こんなに寒暖差があるのに良く続くなと思う 別に俺はこういう事言うタイプでもないけれどこの人たちを見てるとホント爆発しろと思う っていうかみんなそうおもうんじゃないの？ いまだに目の前で盛大にハートとばしてイチャつく篠田先輩たちに頭を痛めながらカードを見せた 先輩が？って顔をしてる 「借り物なんですよ…俺の…先輩来てください」 「えーオレ茜と離れたくない」 「やーだれん君うれしー❤」 「もう!!良いから来てくださいよ!!」 「あーん、れんくーん」 「あかね～すぐ戻るねー」 「もぅ!!しょうがないなぁ…」 思わずため息が出た ホントめんどくさ… とりあえず先輩を茜さんから離れたとこまで連れて行った そうしないとこの人話聞かないんだもの… 「先輩、しゃがんでください」 「え、なんで…？」 「だって指定が肩車なんです、俺の方が先輩より軽いから俺が上、先輩が下です」 「え～」 「………じゃあ先輩が茜さんの前で先輩より細い後輩の俺の上に乗りますか？かっこ悪いですよ」 「下やるよ」 そういって先輩はしゃがんで俺は先輩の肩に乗った 「れんくーん!!がんばってー!!」 「はーい、がんばるよー」 「早くしてください…」 先輩は一通り茜さんとイチャイチャし終わると早足で歩きだした さすがに走るのは危ないしこれに文句はない 見た感じ周りもまだ手こずってるみたいだし一位とれそうかな チラッとチアの服を着た紺庄が見えた あれ…猛じゃないんだ…あれは…頬付かな？ ピンクの髪のやつとか出たんだろうか？ その後紺庄のカードが「カッコいい人」だったと聞いて猛に同情しないわけには行かなかった