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元転校生VS転校生
ぴたっと時間が止まったまま動けないでいると一番初めに動いたのは銀だった
いままで見たことないぐらい目を見開いて露骨に驚いた表情をサッと消してニッコリと笑った
俺に限らず先生までゾッとするような笑顔だった
そんな笑顔のままこっちに歩いてくる
「あれ?みんなどしたん?転校生?」
「あ!!あのね!!志波ノア君って言うんだよ!!ハーフなんだって!!カッコいいよね!!!」
「へぇ…そうなんや…」
一人だけこの空気を感じ取れてない健斗が銀に志波君の事を説明した
銀はまだ笑顔を崩さないで銀の席に座る志波君の前まで行った
わざわざ俺と志波君の間に割って入る
今すぐ乱闘でも起きるんじゃないかって言う雰囲気だった
「そこ…オレの席なんやけど」
「へぇ~君はスッゴイgorgeousだね」
「そりゃどうも、ところでさっさとそこ退いてくれん?邪魔や」
俺志波君だったら確実に漏らしてる…下手なホラーより怖い…
「ヤダよ、俺この席気に入ったんだ」
「んな事言ってももともとオレのやねん」
「怖いな~そんな殺気立って言われても言うこと聞きたくないよ~」
どちらも笑顔だけどバチバチと銀と志波君の間に火花が見える気がした
先生すらビビッて静止できなくなってる
そのまま銀と志波君がばちばちやってる間にチャイムが鳴った
クラス中でホッと息をつく音が聞こえた気がした
皆がやがやと初めの授業の準備をしだす
志波君もふぅっと息を吐いて立ち上がった
まだ銀は志波君を睨んでる
ただ見てるだけだけど睨んでるって表現が合う気がした
銀はまだ苛立ってそうだったけど諦めたのか新しい椅子と机を持ってきて俺の後ろに座った
志波君が声をかけて来た
さっきの事もあって警戒してるしさりげなく周りも注目してた
銀なんて後ろから目をぎらぎらさせている
「君さ、名前なんて言うの?」
「え…名前…?」
「そう名前」
「………ま、なぶだけど…」
「へぇ~学かぁ…ちょっとそんな挨拶にkissしたぐらいで警戒しないでよ、寂しいなぁ~」
志波君がははっとわらった
挨拶の…キス…?
そ、そっか…志波君ずっと海外にいたんだもんな…キスぐらい当たり前か…ほっぺだし…
そう思うと少し緊張もほぐれた
きっと先週日本に来たって言ってたしまだ慣れてないんだな…
「ねぇ、学、俺まだ教科書持ってないんだ、見せてよ」
「あ、そっか…わかった」
そう言ってバックの中から教科書を出そうとしたら
突然誰かに腕を掴まれた
「まな、ちょっと…」
「え…もう授業始まるんだけど!?」
「ええから……ほら、志波、やっけ?オレの教科書貸したるわ」
銀はそう言ってロッカーから新品同様の数学の教科書を出して志波君に放り投げた
今こんなこと考えてる場合じゃないけど…数学ぐらい持って帰れよ!!!
「う~ん、俺学に借りたいんだけど…」
「教科書なんて誰の使っても同じや」
そう志波君に言い捨てて銀は俺を引っ張って教室を出た
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