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志波ノア

相変わらず銀は志波君相手にイライラしていたけど そのたびに俺のうなじの部分の髪で遊んだりさっき付けたばかりの首の下の方についてるキスマークを指で撫でたりしてイライラを俺で遊んで紛らわせてた ………これってある意味八つ当たりだよね…… だから俺は授業中うっかりしたら変な声が出そうで気が気じゃなかった 志波君隣にいるのに… 結局志波君は教科書を見せてくれって俺の机に席を寄せて一緒に教科書を見た 銀はそれが一番腹立ったみたい 俺はそこまで志波君悪い人だとは思わないんだけど… 確かにちょっと軽そうだし(銀もだけど)なんだかよくわからない不思議な感じはする(銀もだけど)けどきっとまだ日本に馴染めてないだけなんだ イマイチ人との距離の取り方っていうのかな?それがわかってないんだ むかーし母さんと父さんとハワイに旅行に行ったのを思い出した どこに行ってもお店のお兄さんお姉さんが当たり前のようにハグして来た 俺はその時まだ小さかったから知らない人に何度も抱っこされたりほっぺにキスされて不機嫌だったのを覚えてる ………昔から愛想は良くなかった…… だからきっと志波君もそういうのなんだと思う だってクラスの他子にもハグとかしてたし 志波君はイケメンだし身長も高い 目もガラスみたいだし髪もなんかきらきらしてた 同じ天然パーマなのになんでこんな違うんだろう… 志波君はなんかさらさらしてて柔らかそうな髪が緩くカーブしてるのに俺はいろんな向きにくるんくるんやりたい放題だった… これでも毎朝それなりには整えてるのに… そう思ってたら志波君と目が合った ニッコリ笑ってなに?って聞かれた ……俺イマイチそう言うのわかんないけどこういう人の事王子さまみたいって言うんだろうな 「あ…ごめん…志波君天パなのに全然髪絡まってなくていいなって思って…」 「あー、なんか元から絡まりにくい性質なのかな?あ、でも美容室はいつもいいとこ選んでたよ、母さんがそう言うのうるさくてね」 「そうなんだ…」 俺なんて昔から近所の安い美容室だった 髪型変えようとか染めようとか思ったことなかったしちょっとストレートパーマとかに憧れたこともあったけど高くてやめた また銀に貧乏性って言われそうだけどなんだかもったいない気がして… 「でも天然パーマって面倒だよね、雨の日とかどうしようもないし」 「そうだよな、風呂上りに髪乾かしたりしてもなんかぼわぼわするし…」 「あーそうだよねー…でも…」 志波君の手が髪に伸びてきて一瞬びくっとした まだ慣れてないんだと思いなおしてそのままになっとく 「俺学の髪好きだけどな~ふわふわで…猫みたい」 「ね、ねこ?」 「そう、ねこ」 にゃーんと志波君が猫の物まねをした それまえ銀にも言われたな… ちょっとおかしくて笑う その後も志波とそんな感じで話をした もともと銀や健斗や猛意外とそんなに喋らないからちょっと嬉しかった 銀は眠ってるみたいでその間は何も言ってこなかった 銀は志波の事好きじゃないみたいだけどやっぱり俺はそんな悪い人じゃないと思うな…

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