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仲直りしたいなぁ…
志波と一緒に銀のところに行くことになった
志波は謝りたいって言ってくれてるし、きっと話せば銀だってわかってくれて許してくれると思った
きっと昨日はカッとなっただけなんだ…
………でも、本当はこの時なぜか不安で、しょうがなくてずっと頭の中で大丈夫だって繰り返してたのも自分に言い聞かせるためだった
胸がざわざわして落ち着かなかった
「へぇ~、銀くん良いとこに住んでるんだね~」
「あ…うん…」
等々銀のマンションの前まで来てしまった…
銀の家が近づくにつれて不安は大きくなっていつの間にか胸がきゅうっと苦しくなるぐらい不安でどうしようもなくなった
俯いたまま顔もあげられなくなる
………かっこわる…
その時手が暖かい物で包まれて顔を上げた
志波が俺の手を握って微笑んでる
「大丈夫だよ、学は悪くないもの、堂々としてなよ」
そう言ってニッコリと笑った
少し気が楽になった
………やっぱり良いやつだなぁ…
志波は俺と銀の関係に気付いてるんだろうか…
………きっと気づいてるよな…
でも志波なら知られても良いと思えるぐらい俺は志波を信頼してた
深呼吸して銀の家に一歩足を進めたところで後ろから声を掛けられた
「………まな?」
「………あ…銀…」
思わずパッと志波の手を離す
銀が明らかに志波と俺が志波の手を握ってたのを見て顔をゆがめた
………あ……今のなんか…すごい嫌な感じだった……
焦って手を離したのは自分なのにそう思ってまた不安になった
……せっかく仲直りしに来たのに…最悪だ……
「……なに?」
「……いや…あ、の……」
銀は冷たいオーラをまとって俺を見下ろしている
怖くて銀の顔が見れなかった
しどろもどろになってしまってどんどん空気が悪くなる
もう涙が出そうだった
でもそんな状態を変えてくれたのもまた志波だった
「も~銀くんそんなに威圧したら学も言いたいこと言えないじゃん」
「…………」
志波に肩をがっしりと組まれた
銀は相変わらず何も言わない
でも少しだけ勇希が出た
「あ、あの…さ…昨日の事なんだけど…」
「……………」
銀は黙ったままじーっとしている
「あ、の…さ…ゴメン…」
「……………」
「し、志波…も…注意、したらちゃん、とわかって、くれ、て…その…もう、そゆことしない…って言ってくれて…だから…あの…」
「……………」
「………………仲直り…したい、なぁ…って………」
やっとそう絞り出した
銀はどう思っただろうか…
しばらく沈黙する
すると志波が今度は喋り出した
俺の肩から手をどけて少しだけ前に出る
俺から志波の顔は見えなかった
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