270 / 1015
拒絶
「うわっ!!」
「!?銀!!」
志波も謝ってこれで銀も許してくれると思った
なのに……
「………ほんまに…なんなん……」
バキッて鈍い音がして気付いたら銀が志波を殴り飛ばしていた
志波は後方にふっ飛ばされて痛そうに頬をおさえて地面に座り込んでいる
「銀、なんで…」
「………なんでまないっつもそっち側なん……」
「……え…」
「いっつも志波はいい奴やから、まだ慣れてないだけやからって…なんでそいつ贔屓するん?オレの言ったこと聞いてそいつ疑ったりはしないくせに」
「別に…そんなつもりじゃ…」
銀はなぜかすごい悲しそうな顔をしてた
胸が痛くなる
別にそんなつもりはないのに…
思わず銀に触れようと手を伸ばした
「っうぅ…」
でもそんなときに後ろからうめき声が聞こえてハッとする
志波の事を忘れてた
俺はとっさに銀に伸ばした手を引っ込めて志波に駆け寄ってしまった
志波の頬は赤く腫れて痛々しい
それを見て銀の顔がもっと悲しげになったことに俺は気づけなかった
「志波、大丈夫…?」
「…うぅ…いてて…大、丈夫…」
「……ごめん…」
「だから学謝らなくていいんだって、もともと俺が悪いし…銀くんが許せないのもしょうがないよ…」
志波はシュンとしてそう言った
余計痛々しくて焦る
「…………結局そっちやん……」
「…………」
銀がまた声のトーンを落としてそう言った
今度は銀は眉間にしわを寄せて何とも言えない表情をしてた
「まなそいつが大事ならそいつと一緒におったらええやん」
「……え…」
そう言うと銀はクルッと俺達に背中を向けた
「銀!!」
「触んな…」
「………」
銀の腕をつかむと銀は俺を睨み付けてそう言った
怖かった…
銀にこんなに強く拒絶されたのが初めてで拒絶されたことに恐怖を感じた
きらわれたくない…銀にこれ以上めんどくさいやつだと…思われたくない…
そんな思いが先にたって銀の腕を離してしまった
銀はそのままこっちを振り向くこともなくどこかへ行ってしまった
「っう…」
「…あ……」
「うぅ…いいよ、学…いってあげなよ…」
「………でも…」
銀を追いかけようとしたら志波が唸り声を上げた
けが人を置いて行くのは気が引けた
そんなこと言われたら余計行きづらくなる
銀の去った方に目線を向けた
……銀…
ともだちにシェアしよう!