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吉田家の食卓

後ろで猛が騒いでる声が聞こえるけど無視しとく 作らないとか言っときながら作ってくれるのが猛やって良くわかっとる 「おじゃましまーす」 狭くて暗い廊下を進んでがやがやしている居間に入った 「頬付君!?」 「おじゃまします」 「たけ兄!!健斗さんという人がいながら頬付さんに浮気!?ハッ…でもそれはそれでおいしい…」 「してねえよ!!!」 例のあの腐女子姉妹に促されてこれまた狭い居間に座った 猛は同じくその二人に追いやられてぶつぶつ言いながら台所に向かった そういえば…猛の家はガキがおるんか… オレの事をまじまじ眺めるチビ3人を見て思った まぁさすがに家に入れてもらったのにその家の子を邪険に扱ったりはしない 愛想のいい笑顔を浮かべて手を振っとく すると多分小学校低学年ぐらいの女の子が寄って来た 吉田姉が理沙って名前やと教えてくれた小学2年らしい オレが一番嫌な時期の女の子や… その子は目をキラキラさせてオレの前まで来た そう言えば愛奈もこんなやったなぁ… 「こんにちわ」 「こんにちわ!!」 とりあえず笑顔を浮かべてあいさつしとくすると顔を真っ赤にしながら挨拶を返してきた その後もそわそわしながらオレの周りを行ったり来たりしたりおもちゃを持って来てみたりしとった 構って欲しいらしい ………構わんけど… その子を無視してスマホを弄る メールを確認しては見たけどなんも入っとらんかった そしたらそれを見た猛が台所からこんなことを言い出した 「理沙、そのお兄ちゃん遊んでくれるって」 「ほんとう?」 「ほんとほんと」 顔を上げるとキラキラさせてオレの前で大量のおもちゃを抱えて待機する理沙ちゃんの姿があった じろっと猛を睨むと猛は知らん顔で料理に戻っていた …………… ため息を吐いて仕方なくええよって言うとその子はぱぁっと顔を輝かせてあぐらをかいているオレの膝の上に座った 子供ってここに収まって座るのすきよな まなココ座らせるとすっぽりはまって収まりええんよ…まなも気に入ってたみたいやし… そんな感傷に浸りながら理沙ちゃんと遊んでやった なんていうか…愛奈よりは扱いやすかった… 結局まだ家に上がり込んだことを根に持っている猛にはめられ理沙ちゃんを膝に乗せたまま飯を食うことになった でもなんだかんだ言ってちゃんと俺の分まで飯を用意してくれるのは猛らしかった まなとのことを忘れたわけじゃないけど多分その時はそのイライラやもんもんとした感情を抑えるのに必死だったんだと思う…

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