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あの後も何度もスマホの電源をつけて消してを繰り返した マナーモードにしたのに気になってしょうがなかった 何かを食べる気にも誰かに相談する気も起きず着替える気力すらわかなくてとりあえず部屋まで行って虚しさを抱えたままベットに潜った また涙が溢れて来てそのまま泣き疲れて寝てしまった その夜銀の夢を見た 何故かお互い裸だったけどそういうことをしてるわけじゃなくてオレも銀もにこにこ笑って二人で抱き合ったり、額を寄せあったり、ぺたぺたと体を触ったりしてなんだかなごやかな雰囲気だった それがすごく幸せそうでなんだか自分も幸せな気分だった そこで夢が終わってハッと目を覚ました もう外は明るくなっていて体中汗でべたべたしてた 幸せな夢だっただけ落差が大きくまたへこんでしまう 涙こそ出なかったけどズキンと胸が痛んだ その時スマホが光った びくっと体が跳ねる ……もしかして… そう思って急いでスマホを開いた 『紺庄健斗』 でもそこに表示されていた名前は期待してた名前じゃなかった またぎゅうっと胸が捕まれたような感覚がして涙が出そうだった そんな感情をこらえて電話に出る 「………はい……」 『あ、学?よかった~、あのさ今日のクリスマスの……』 「…………ゴメン……」 『…?』 「……俺行かない…」 『えっ!?なんで!!銀も同じこと言うんだよ!!なんでなんで!!来ようよ!!学いいよって言ったじゃん!!』 「……………ごめん……」 『ちょっと!!まな……』 そこで一方的に電話を切った …………ほら…やっぱり銀…俺に会いたくもないんだ……… ぽいっと部屋の隅にスマホを投げてその場にしゃがみこんだ またスマホが鳴り出したけど無視した 今度はなんだかおかしくなって笑ってしまった 銀も行かないんだ…やっぱり…俺のせいだよな… 銀はもう俺を嫌いになったのかもしれない… また昨日の嫌悪した銀の顔が鮮明に思い出された やっぱり涙が溢れてくる 笑いながら泣くって言う何とも変な感じだった 本当なら…本当ならきっと今日は銀や健斗たちとクリスマスを祝ってたはずだったんだ… 部屋の隅に置かれた紙袋が目に入った、一昨日デパートで買ったものだった 一緒にケーキ食べて、猛の作った料理も食べて、プレゼント渡したりして…… ホントは今日から誕生日までずっと一緒に入られたはずなんだ…… きっと頭も撫でてくれただろうし、名前も呼んでくれて、キスだってそれ以上のことだってたくさんしたはずなんだ…… 実現しなかった未来を思うと余計に虚しかった 虚しくて寂しくて苦しくてまた涙が溢れて止まらなかった

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