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嫉妬
「いや~お世話になりました」
「え~頬付君もう帰るの?」
「そうですよ!!まだいてもいいんですよ?」
「王子様……帰っちゃうの?」
24日の朝、猛の家を後にしようとしたら腐女子姉妹とあのチビに引き留められた
それをやんわり断る
チビのお姫様ごっこに付き合ったらこんなあだ名がついた…
「さっさと帰ってください王子様…」
「王子様の扱い雑やない?」
猛は相変わらずむすっとしとったけど昨日ほどではなかった
「また来るわ~」
「もう来ないでください!!」
そう言ってぎしぎしなる古い階段を下りて猛の住んでるアパートを後にした
はぁ…っと息を吐くと白い靄が出た
昨日結局あの後猛にあったことを全部話した
志波の本性もまなの事も、志波が転校してきた日までさかのぼって全部話した
それを猛はずっと黙って聞いてた
「先輩の気持ちも分からなくないですけど、今度はもう一度学さんと二人で話した方が良いと思います」
「………もう話したんやもん」
「その時は志波先輩もいてそっちが気になって先輩ちゃんと学さんの話しだけに集中できてなかったんでしょう?」
「……………」
「学さんだってきっとそうしたいと思ってますよ」
まなやってってなんやねん
だったらなんであの時追いかけてきて話に来なかったん…
あの時まなが志波の方に残ったことをオレはいまだに気にしているらしい
志波なんかに負けた気がして癪やった
まなが志波を庇ったときも贔屓したときもずっと負けた気がしていややったんや
嫉妬やなぁ~……
長いこと感じたことのなかった感覚に浸る
あんまりええ気分ではなかった
ぶるっと寒さに身震いして思考を現実の方に戻した
いつの間にか結構駅の近くまで歩いてたみたいでちらほらと腕を組んで歩くカップルやクリスマスの飾りが目についた
結構いろいろ用意はしとったんやけどなぁ~……
クリスマスの分と誕生日の分でプレゼントも買っといたし、誕生日分のケーキも予約しとった、それなりに料理するためにいつもお茶とゼリー飲料ぐらいしか入ってない冷蔵庫にもいろいろ食べ物を買ってきて入れておいた、もちろんそう言う方面の物やってたくさん用意しとった
今思えばオレも人並みに浮き足立ってたんやと思う
ぐーっと伸びをする
まなはどうしとるんやろか……
ふとそんな事を思った
ホントにオレよりも志波の方が大事になったんやろか…
スマホの電源を入れて見るけどやっぱりまなからのメールも電話もなかった
それで少しさみしいななんて思ってる自分に笑った
あ~……嫉妬…いややなぁ……
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