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天はニ物を与えず
俺が昨日それなりに勉強を頑張っていたのはもう一つ理由があった
「小テスト返すぞ~」
「うぇぇ」
「いらね~」
「………」
今日は数学の小テストがあった
クラス中でブーイングが巻き起こっている
そんなにがちがちに緊張するほど成績に響くわけでも無いけど、でも今回の範囲はなかなか難しくて少し前からひそかに勉強していた
………まぁ多大な妨害はうけたけど…
「すぎたぁ~」
「………」
先生の声に呼ばれてそろそろとテストを取りに行った
まだ点数は見ないで席に座ってそーっと紙の隙間から点数を覗く
「……………」
ぱたんっと机の上に突っ伏す
くっそ…
すると後ろからちょいちょいと背中を突かれた
「ねぇ、学はなん点だった?」
「………」
ニッコリ笑った志波が机を覗き込んできた
志波は結局俺の後ろの席になった
特にあれ以降なにもされてはないけどやっぱり苦手というか少し怖かった
まぁなんでか志波は俺が志波の事を怖がってるのをわかってるのかあんまり積極的に絡んでは来なかったけど……
ちらっと志波の机の紙を見ると100っと書かれて下にしゃっしゃっと赤い線も引かれてた
「…………お前100点だったのかよ……」
「あ、うん、あんまり難しく無かったよね」
「………」
志波は賢かった
英語はもちろんの事、5教科から美術や体育なんかもよくできた
最近痛いぐらいに「天はニ物を与えず」って言葉は嘘だと理解する…
黙って前を向くと今度は銀がテストを貰って戻ってきた
………ぎ、ぎんは勉強してなかったし…
そう思ってそろっと銀の点数を覗いてみた
「…ん?あ、まなオレの点気になるん?98やったんよ~」
また気持ちが沈んだ
銀全然勉強してなかったのに……
いや…でも実は俺の見てないとこで勉強してたとか……
「まぁ~これぐらいなら勉強せんでもなんとかなるなぁ」
「…………」
また机に突っ伏した
ニヤッと笑って言うあたり腹立つ…
世の中って本当にズルい…
すると今度は健斗がクルッとこっちを振り返った
「ねぇねぇ学なん点?学なん点だった」
「………………」
「…?ねぇねぇ、学?」
「…………」
健斗がそっと俺のテスト用紙をめくって点数を確信してた
自分のテスト用紙とキョロキョロ見比べてる
「すごいねえ、学俺より45点も高いよ?」
「……うるせ…」
「なんで?だって学48…」
「黙れ……」
健斗が3って書かれた紙をひらひらしている
オレの点数は48点だった…
もちろん志波と銀は異常だったけど、それでも低かった
………健斗と……45点差……
なんでこいつにこにこしてんだよ…
テストを机の下にしまって机にぐでっと伸びたままだった
ショックがでかい…勉強をちゃんとしたと思ってた分だけ余計辛い……
原因ははわかってる…
隣の席の銀を睨みつけた
銀のニヤッと笑った視線と合って、ぶすくれたままその視線を逸らす
「まーな?そんなぶっさいくなかおしてたら可愛くないで?」
「うるせ…」
「ええやん、別にテストの成績ぐらい」
「誰のせいだと思ってんだよ!!!」
「いたっ!!」
ニヤニヤ笑って俺に顔を寄せる銀を軽く小突いた
こいつのせいだ!!………いつでもどこでも盛りやがって……!!
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