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猛さん
こんにちは…
もう読者さんにも作者にもムッツリと呼ばれ続けてる猛です
今日は3月10日…オレの誕生日でした…
紺庄先輩と学さんはお祝いしてくれてオープンスケベ先輩にもなんだか真っ赤な見るからに如何わしい紙袋に入ったきっと如何わしいであろうなにかも貰いました
そして放課後になって紺庄先輩が家に来て一緒に祝ってくれる予定でした…なのに…
「猛さん!!お久しぶりです!!」
「!?」
おいしい物が食べれるってウキウキして笑顔な先輩と校門を出ると突然誰かが目の前に出てきてガバッと頭を下げた
まぶしいくらい明るい金髪が生えた頭が見える
先輩はきょとんとした顔をしてるけどオレの顔は陰った
「お疲れ様です!!」
「……若葉…」
「うす!!」
目の前の金髪が腰を折ったまま顔を上げてキラキラした笑顔でオレを見る
オレの見知った顔だった
黒の学ランにオレのなんかよりよっぽど明るい金髪でその髪を昔と変わらない同じカチューシャでオールバックにして手に下げるタイプのバックを無理やりリュックみたいな背負い方をしてる
オレが良いって言うまで頭を上げないのも昔のままだった
先輩がオレの服の袖をくいくい引っ張って誰かと尋ねてくる
けど…正直言いたくない…
「先輩…スンマセン、今日先帰っててくれませんか?」
「え……でも…」
先輩が眉毛を下げて不安そうな目でこっちを見てくる
紺庄先輩を不安にさせたくはない……でもやっぱりあんまり先輩に紹介したい相手ではなかった…
「大丈夫ですよすぐ帰りますから…」
「………でも……」
先輩はまた不安そうに何か言いかけて黙ってしまった
俯いてしょぼーんとしてしまってる
本当は一緒に帰りたいけどさすがに若葉もここまで来て帰れって言って素直に帰る相手でもなかった
先輩はちょっとだけして手をギュって握ってから顔を上げた
「じゃ、じゃあ…先、帰ってしずちゃん先輩と唐揚げ準備して待ってるね…」
「……あ…せんぱ…」
「じゃあ…ね…」
先輩はいつかの時みたいに眉毛を下げて不安でしょうがないって顔を無理やりゆがめて笑顔にして走って行ってしまった
先輩は嘘がつけないからすぐ顔に出る
ズキッと心が痛む…
「……若葉…」
「うす!!お久しぶりッス!!」
「頭、下げなくていいって前から言って…」
「いや!!そんなわけにはいかないッスよ!!猛さんですもの!!」
また若葉はガバッと体を起こしてぶんぶん手を振りながら言った
顔に絆創膏を貼ってるのも相変わらずだった
周りががやがやして来てここが校門の前だったことに気付く
「………来いよ…場所、変えるぞ…」
「うす!!」
早くここから立ち去りたくて歩き出すと若葉も小走りで付いてきた
オレより半歩後ろを歩くのも昔と変わらなかった
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