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ちんちくりんと若葉ちゃん
「…………」
「…………」
「……はぁ…」
オレを真ん中にベンチに座って両脇で紺庄先輩と若葉が睨み合っていた
紺庄先輩も若葉もオレの腕をギュウッと掴んでいる
……困った…
「……やめてくださいよ…先輩も…若葉も…」
「!?、猛さんこんな奴の事先輩なんて呼んでるんですか!?もしかしてこいつの下なんかについてるんスか!?」
若葉はイライラしててオレの話を聞こうとしない
紺庄先輩がさっきした彼氏発言もイライラで忘れたようでずっと顔を赤くしてまくし立てている
憧れてくれるのは勝手だけど正直今は紺庄先輩が大事だし理解してもらいたい
「別に下についてるとかそういうあれじゃ…」
「じゃあなんなんスか!!昔は年上の奴らにも猛さんなんて呼ばれる側で先輩なんて呼んでなかったじゃないッスか!!」
「それは別に意図したことじゃないしあいつらとは別に話す機会もなかったからで…」
「そんなの関係ないっすよ!!なんでそんな丸くなっちゃったんスか猛さん!!」
そうだ…
オレのいた中学でもオレがケンカに強いなんて言う変な噂が流れたせいで1年の時からいろんな先輩がケンカを吹っかけてきて正直先輩って呼べるような敬えるべき相手もいなかったし何故かそのうち逆にいらない謙遜をされ変に敬われるようになった
中には高校生までいたこともあった…
オレはそれが嫌で完全に無視してたけどそれが余計変なイメージを植え付けたようで若葉みたいにオレにこれまた変な憧れを抱くやつが増えた
オレはそんなのも嫌でどんどん孤立して行き、そしてそれとは逆にどんどん憧れたり敬ってくるやつが増えた
ホントに面倒な中学生活だった……
「…猛……猛…」
そんな風に黄昏てたら紺庄先輩に名前を呼ばれ揺すられた
それが気に入らなかったらしい若葉が紺庄先輩に食ってかかる
「おい!!ちんちくりん!!!猛さんの事呼び捨てにするな!!!」
「ちんちくりんじゃないって言ってるじゃん!!!そっちだって女の子みたいな名前のくせに!!!若葉ちゃんだ!!!」
「わかばちゃっ!?女の子みたい!?このやろ…」
「うっさい!!若葉ちゃん!!」
「ッ~~~~~!!!!」
若葉と先輩がお互いに食って掛かろうとするのを静止する
正直若葉は力が強いわけじゃないし止めるのもそんなに難しくない
関係ないけど若葉中学の時から若葉ちゃんって呼ばれてたよな…
「何で止めるんですか!!猛さん!!」
「落ち着けって……」
「なんでおれだけなんですか!!」
「ぶー!!若葉ちゃん怒られてる!!」
「なっ!!」
「先輩!!」
先輩がべーっと舌を出してオレ注意するとオレの影に隠れた
若葉は「離してください~!!」ってじたばたしている
もう、やだ…
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