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名誉
は…はは…
なんて顔だよ…
きゃんきゃん泣き叫んで猛さんの名前呼びながら連れてかれるちんちくりんを眺めながらそんな事を思った
やっぱりお前じゃ猛さんになんか釣り合わないんだ…
きっと…猛さんだって……
こいつを好きだと言ったときの猛さんを思い出した
いっつも何物も寄せ付けないような…おれらにですら一線弾いてるような猛さんが優しそうな目をしてた
わかってるんだ…猛さんがちんちくりんのこと大事にしてるって…
ぐぅっと唇を噛む
猛さんがいけないんだ…
皆ぎゃはぎゃは笑いながら泣き叫ぶちんちくりんを見て喜んでた
ちんちくりんは椅子に座らせられて縛られてそれでもまだ猛さんの名前を呼んでいる
猛さんがケンカしないなんて言うから…
前にケンカした時に蹴られたまだ治ってない腕が痛んだ
これからあいつらはちんちくりんを餌に猛さんを呼ぶんだ…
ちんちくりんを使えば猛さんは必ず来るっておれが言った…
………そしたら猛さんだってケンカしてくれる…
猛さんが本気でケンカしたらこんな奴らに負けたりしないんだ…
怪我した皆にだって猛さんがおれらのために仇をうってくれたって言える…
猛さんがおれらの事どうでもよくなったなんて、猛さんがビビってるなんて…そんな事ないってあいつらに示せるんだ…
おれの…おれらの…憧れの猛さんに戻ってくれるんだ…
……………猛さんの…名誉を守れるんだ…
だから…
ちんちくりんはまだ泣き叫んで怖がってた
子供みたいに声出してわんわん泣いて、自分から弱み見せるようなことして…
だから……猛さんが来るまでの辛抱だから…
…………猛さん……
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