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眠れる鬼
そのメールがオレのところに届いたのは学校を出たあたりだった
つい30分前先輩たちの楽器の片付けを手伝ってる時に知らない番号から電話が来た
『おー?吉田ぁ?』
それは須王だった
正直面倒だった
このあいだの若葉とのこともあったし会いたくない…って言うか話したくないしそもそもかかわりも持ちたくない
「………須王…」
『お前悪趣味だなぁ…』
半笑いみたいな気色悪い声がする
「………」
『男なんかと付き合う趣味があったなんて知らなかったぜ?』
「………先輩…?」
『おら、喋れよ』
先輩…?
なんで須王が先輩の事を知ってるのか知らなかったが嫌な予感がした
先輩がそこにいるんだろうか…
そう思うと内心穏やかじゃなかった
でも予想してたような先輩の声は聞こえない
『あぁ?おい、喋れって行ってんだろ!!』
電話口では須王のイライラした声が響いてるが何も聞こえない
その後も須王はイライラをあらわにしてたが結局その電話で須王以外の声は聞こえてこなかった
『チッ、ちょっと待ってろ!!』
須王はそう言って電話を切った
…なんだったんだ……
「おーい、猛ー、こっちも手伝ってくれー」
「あ、はーい」
その時は下校時間も迫ってて忙しかったこともあっていったんスマホをしまって片付けの手伝いに戻った
そしてついさっきの事…
おれのスマホに一通のメールが来た
知らないアドレスからだった
「…………」
「……猛?」
「…………」
メールを見ておれは固まった
「おい、猛?大丈夫かよ?」
鈴木先輩が心配そうに俺の肩に手を手を置く
それでもオレは返事を返せなかった
久々に平静を保てなくてすさまじい怒りに燃えていた
「……ちょっと……失礼します……」
「え、あ、猛?」
そんな声を掛けられたけど無視して走った
足が勝手に目的地を目指すように動いた
裸で椅子に縛られて涙を流す先輩の写真が表示されてたスマホを握りしめる
………先輩……
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