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銀の寝言

「………ホントに寝てますね…なんか静かで不気味です…」 「……だろ…不気味だよな…」 「はい、顔が無駄に整ってるから余計不気味です、不気味ピンクオープンスケベです」 「だな、不気味ピンクオープンスケベエロス大魔神だ…」 「………?ぶきみぴんくおーぷんすけべ?えろすだいまじん?」 新しい学期が始まってちょっとして授業のガイダンスや身体検査なんかも終わってやっと普通の学校生活に戻ったあたりの昼休み いつもみたいに昼飯を食ってたら銀が突然眠いって言い出してそのまま俺に膝をかせって言って横になって眠ってしまった さっき予鈴が鳴ったけど深く寝入ってるのか起きない すやすや気持ちよさそうに眠っている 銀のピンク色の髪が風でさらさら揺れて、白い肌に木漏れ日が落ちて、長い睫の影ができて…なんか雑誌とかの1ページみたいだった 今度は本鈴が鳴った 猛と健斗は立ち上がったけど銀はまだ起きない いろいろ新学期で疲れちゃったんだろうか… 「……じゃ、オレら戻りますね…」 「あ、うん」 「じゃあね~」 そう言って猛と健斗は行ってしまった 銀と二人取り残される なんだか銀があまりに深く寝入ってるから起こすのも悪くなってしまった ……早く授業行かないといけないのに… 遠慮がちに銀の髪を梳く髪が揺れて銀の顔にかかったけど銀は軽く「う、うん…」っと身じろいだだけだった …早く起こさないと…… そう思ったけどこんなに無防備な銀が珍しくてちょっとかわいいなーなんて思ったりしてなかなか起こせなかった 「……か…」 「ん…?」 「……し…ずか…」 「……………」 俺の体の動きがピタッと止まった 「……静香…」 「…………」 今度はハッキリと「しずか」って言った しずか…? ドクドクと心臓の音が大きく聞こえた 「……銀…」 「…………」 不安に駆られて銀の肩を揺する 銀はその後も何度か「しずか」って呟いてた 俺の事「まな」って呼ぶのと同じ声で… キュウッと胸が痛くなる 銀を早く起こさないといけないと思った なんだかすごくこわかった 「静香…」 「銀!!」 自分でもびっくりするぐらい大きい声で銀を呼んで肩を揺すった 銀がやっと目を開けた 俺の顔を見てちょっと茶色がかった目をパチパチしてる その時俺は自分がどんな顔してたのか覚えてない 「あれ…?まな、おはよぉ」 「……おは、よ……」 いつもみたいにヘラヘラ笑ってちゅっと銀がキスしてきた 「?まな?どしたん?」 「……あ、や…なんでも…ない…その、もう授業始まってるから…」 「ホンマや、じゃー行くかぁ…」 銀が俺の頭をグリグリ撫でて立ち上がった いつもと何も変わらない 「まな?行くで?」 「あ…うん…」 ………忘れよう… そうやって無理やり胸の中でグルグル渦巻く黒い物に蓋をした 銀が再度俺の頭を引き寄せて額にキスをする それが余計俺を不安にさせた ……忘れなきゃ…

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