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愛が痛い
あれから忘れようと何度も努力した
銀はいつも通り優しいし何も変わらない
キスもしてくれるし相変わらずヤりたがりだった
毎朝一緒に登校してほとんど下校も一緒でほとんどの週末は一緒に過ごしてた
でもどうしても忘れられなかった
銀がボーっとしてるのを見ると静香って人の事考えてるのかなとか誰なんだろうとか…
そのたびに銀が甘い声で静香って呼んでたのを思い出して悲しくなって銀と一緒に寝るのも怖くなった
もしまた「しずか」ってあんな声で言ってるの聞いたらとか、もし今度はもっと別の女の人の名前が出て着たらとか思うと辛くて毎日そんな妄想ばかりしてる自分が嫌であんまり眠れない夜が続いた
「…な…まーな?」
「え、あ、なに?」
「まなどしたん?ぼんやりして?」
「……あ……な、なんでもない……」
「…?そう?」
銀が心配して顔を覗き込んでくる
パッと顔を逸らしてしまった
ほら、今だって…
ずっと胸の奥で嫌な物がグルグルして辛くて苦しい…
銀に正直に聞けばいいってわかってたけどそれができなかった
もし銀を傷つけたり銀と気まずくなったりするぐらいなら忘れようと思った
「…………まなやっぱ変やない?」
「そんなことないよ…」
「ほんま?」
「…ホントだよ」
「………」
銀はそれ以上何も聞いてこなかったけど俺は銀と顔を合わせられなかった
今日これから銀の家に呼ばれてるのに…
息苦しい…
いつも銀が俺を一番に考えてくれるから余計に息苦しい
もしかしたらそのせいで銀が我慢してるんじゃないのか…もしかしたらいろいろ溜まってるんじゃないだろうか…嫌な思いしてないだろうか…とか…そんなことばっかり…
静香さんは銀の身内なんじゃないかって思ったりもしたけど俺は銀の身内の女のひとどころか両親や兄弟の事なんかも知らなかった
……静香さんはそう言うことも知ってるんだろうか…
俯いてたら突然そっと背中に手を当てられた
振り向くと銀が笑ってこっちを見てた
「まなホントに大丈夫ならええけど体調とか悪いんやったら早う言うてや?」
「あ…う、ん…」
「大丈夫?」
「うん…ホントに大丈夫、多分、ちょっと寝不足で…」
「ふふっ、新しいクラスに緊張したとかそう言うあれやろ?」
「う、うるさい!!」
苦しい…銀が愛してくれるのが痛い…
こんな風に思ったの初めてだった
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