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銀のこと
銀が再度ぎゅっと抱きしめてくれる
すりっと耳の裏を撫でられてえっちするのかなって思ったら銀は俺の事を抱きしめて肩に顎を乗せたまま動かなかった
「……ぎ、ん…」
「ごめん…」
銀が俺の体を抱きなおしてそう言った
何に対しての「ごめん」なのか一瞬わからなかった
「だい、じょうぶ…だよ…」
「嘘やん」
「…………」
とりあえずそう言ってみたけど銀にははっと笑われた
「それ気にしてずっと悩んでこんなにクマができるぐらい寝不足やったんやろ?」
「…………」
「ごめんな…」
胸がきゅうっとなって銀の背中に腕をまわした
銀に頭を撫でられてホッとする
「静香はな…」
銀がそう言って話し出した
「………静香は、オレの初めての彼女で初めてオレがヤった人…まな以外で真剣に好きやったのは静香だけやわ…」
「………うん…」
「付き合っとったのは中学の時やし、今はもう会ってもいないしもちろん付き合ったりヤったりなんてしとらん…」
「…うん」
「2個年上の人やったんやけどな、きれいな人やったわぁ…」
「………」
銀はそうやって俺を抱いたままなぜかちょっと悲しそうな顔をして懐かしそうに静香さんの話をした
銀が本当に静香さんの事が好きでたまらなかったんだってことがよくわかってちょっとだけ妬けた
銀がまた俺にチュッとキスをする
「確かにな、静香の事好きやったけど今はまなが一番やから…まなが一番大事、一番好き…」
「うん…」
すりすりと顔をすり寄せてくる銀をちょっとかわいいなって思ったりしたけど銀はやっぱり悲しそうな顔をしてた
「他には?」
「………え…?」
「まな、他に知りたいことは?」
「……え…あ……じゃ、じゃあ…家族…は…?」
銀はわざわざそうやって俺に聞いてくれた
でも家族は?って聞くとちょっとだけ顔が陰った
「あの…イヤだったら別に…」
「ううん…大丈夫やで…」
「…………」
「両親とな兄貴が一人おる、両親は前言った通り海外におるけど別に仲悪いわけやないで?たまに会うたら一緒に飯とか食うし」
「お、お兄さんは…?」
「…あー…うん、あんま仲良くないなぁ……」
「そうなんだ…」
銀はちょっと困ったような顔で言った
だからなんだか悪い気がしてそれ以上銀の家族の事については聞けなかった
でもお兄さんいたんだ…ひとりっこだとおもってた…
「好きな食べ物…はあんまない…けど、甘い物以外なら普通に食べれるで…?」
「聞いてない…」
「知ってるー」
そうやって銀はいらない情報や知ってた事、どうでもいいことまで離してくれた
なんだか銀の話が初めてちゃんと聞けた気がして嬉しかった
そう思ってたら安心したからか急に眠気が襲って来た
うとうとして銀の胸にぽすっと倒れ込む
「ふふっ…じゃあ今日はもう寝よか…」
「……ん…」
「オレももう寝ちゃおー」
そう言って銀から着替えを借りて軽く着替えて二人で布団に入った
銀がしっかり俺を抱いて寝てくれて照れくさいけど嬉しい…
もう銀と一緒に寝るのも怖くなくて、久しぶりに安心して深く眠った
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