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噂の静香さん
そんなこんなで銀との間にあったモヤモヤも晴れてやっといつもの学校生活に戻ることができた
今思えばもっと早く言ったらよかったなと思う
あれから銀と静香さんの話しや銀の家族の話はしていない
何となく銀が嫌がってるって言うか避けてるっていうか…聞いてほしくないと思ってると思ったから…
きっと聞けば銀はちゃんと答えてくれるんだろうけど今の俺にはこのあいだ聞いた情報で充分だった
「…?なんか学元気だね?」
「そ、そうかな?」
「うん、なんか…ちょっと前まではしゅーん…って感じだったのに、今はぱぁぁ…って感じになった!!」
健斗が表情付きで教えてくれる
今は健斗と教室の掃除をしてた
健斗も俺が元気がないのわかっていたらしい
「でも、元気になってよかった」
「お、おう…」
にこっと笑ってそう言う健斗を見ると良い幼馴染だと思った
「まーなっ?掃除おわったー?」
「あ、銀…」
「かえろー」
「もうちょっと待って」
教室の外から顔をのぞかせた銀を見て急いでちりとりにゴミを集めてゴミ箱に捨てた
最近なんか自分でもびっくりするぐらいふわふわして浮かれたような気分だった
「まな、ご機嫌やな?」
「そうかな…?」
「うん、なんかぱぁぁ…って……」
「……それはもういい…」
銀と廊下を歩いて他愛もない会話をしたりする
いろいろ…って言うか勝手に俺が不安になってただけだけど、そう言うのの後だからちょっとだけこういう普通の事が嬉しく感じた
そのまま玄関を通って校門を抜けて今日も銀の家に行く予定だった…
「っ!!ぎんっ!!」
「!!」
「?」
猛と同じ中学の後輩の若葉くんの話をしながら校門を抜けようとしたその時、突然女の人の感極まったような声が聞こえた
………銀…?
そっちを見ると綺麗な女の人が立ってた
ヒールを履いて170cmちょっとぐらいの高めの身長で、スラッとした手足に出るとこは出て締まるとこは締まってる体、ふんわりとウェーブのかかった黒髪がその人の美しさを引き立ててて、ふっくらした唇にスッと通った鼻とつややかな瞳の大人っぽい上品な見た目の女の人だった
……?誰だろう?
女の人はそれ以上何も言わずに複雑そうな表情ながらも笑って立っている
まっすぐに銀を見つめてた
銀は目を大きく開いて口も半開きでびっくりしている
どっちも何も喋らない時間が続いた
しばらくして銀の口が動いた
「………しずか……?…」
「…………」
それを聞いて俺は固まって動けなかった
静香と呼ばれた女の人は嬉しそうに顔を赤らめながらもふわっとそれこそ花が咲くような笑顔を銀に向けた
この人が…静香さん……
聞いていた通りのきれいな人だった
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