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『真剣に』『好き』

「オレの…大事な人やから…」 そう言って銀はおれも静香さんと一緒に連れて行ってくれた 静香さんはちょっと不安そうに俺をちらちらと見ながらもついてくる そう言えば銀と静香さんはなんで別れたんだろう… また疑問が湧いたけどさすがにそれを今聞くわけにもいかず静香さんの反対側で銀の隣を歩いてついて行った 「それで…その…その子は……」 学校の最寄の駅の近くのコーヒーショップに入って適当に注文を済ませて席に着くと静香さんがそう言った どうでもいいけどさっきコーヒーを頼むときに銀が甘いのが苦手でエスプレッソを飲むのは知ってたけどその時に静香さんも「同じので」なんて言うからちょっと意地張って「俺も」なんて言っちゃったんだけどこれすごく苦い… 牛乳と砂糖欲しい… って言うかいつものカフェオレにしたらよかった… 「オレの今付き合ってる子、学って言うねん」 「そう…そうなの」 コーヒーの表面をじっと眺めてそんな事考えてるうちに銀がそう言った でも静香さんは銀のその言葉を聞いてなぜか悲しそうにしてた顔を少し明るくしてなんていうか…ホッとしたような表情をした …? 首をかしげてると銀の腕が回ってきてぎゅっと抱き寄せられた 店内に人はいたけど奥まったとこにある席のおかげで見られたりはしてなかった 「『真剣に』付き合ってん、『好き』やねん」 「………………」 カァッと顔が熱くなる 改めてそんな事を人前で言われると恥ずかしかった でも銀がそう言うと今度は静香さんはすごくすごく傷ついたような顔をした さっきまであんなホッとしたって言うか…悪く言うと俺のこと眼中にないみたいな顔をしてたのに今はおろおろして自信がないみたいでしゅーんっとなってしまった 「し…真剣に…その子が好き、なのね……」 「……あぁ…」 「そう、なの……」 俯いた静香さんの目には涙が浮かんでるように見えた 「あ、あの…」 「そ、そうよね!!も、もうあれから3年もたつし…銀、もとからそう言う気があったし…今さら、私…なんかが出てきて、も…もう…なんにも……」 「…………」 静香さんは顔を下げて髪で見えないようにしていたからわからなかったけど確実に涙声で泣いていることは明白だった 手を口元に持っていって震えてる 「………ごめんなさい……」 「…………」 「あ…」 そう言うと静香さんは鞄を持って立ち上がって片手で口元を覆ったまま小走りでお店から出て行ってしまった 銀も何も言わずに動かないで難しそうな顔をしてる 静香さん… 「お、俺っ!!ちょっと行ってくる!!」 「えっ!?まな!?」 銀の声が聞こえたけど止まらなくて気づいたら鞄も全部置いたままお店を飛び出して静香さんを追いかけていた

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