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今カレと元カノ

静香さんは良い人だった 「ねーやっぱり変よねぇあの頭」 「昔からそうなんですか!?」 「……ううん、昔は普通に真っ黒で…でも銀が中学卒業するころにはもうピンク色だったかな…」 銀の今の恋人の俺と元カノの静香さんとでこんな話しをするのも変だけどでもなぜか銀の話しですごく会話が弾んだ 静香さんは本当に良い人で俺が銀と付き合ってることにも偏見なんてなくてすごく自然な感じで接してくれた でもそうやって話してると時々静香さんは悲しそうな表情になった 「銀もね…昔こうやって男の人に絡まれてた私を助けてくれたんだ…」 「…………」 「懐かしいなぁ…」 静香さんは寂しそうに笑った 静香さんの話しや銀の話しからこの二人は本当に仲のいいお似合いのカップルだったんだろうなってことがよくわかった なのになんで…? 「…………あの…失礼かもしれなんですけど…なんで静香さんは銀とその……」 「別れちゃったか?」 「あ、はい…」 静香さんが遠くの空を見るようにして目をスッと細めた 「………私がいけないの…私が…あんなに愛してくれた銀を裏切ったから…銀を信じてあげられなかったから…」 「……?」 裏切った? 静香さんは遠くを見て目を細めたまま懐かしいような悲しいような後悔しているような顔で微笑んだ 静香さんの髪が夜風に吹かれて靡くのをみてあの銀が静香さんの事をきれいな人だって言ってたのがよくわかった 裏切ったって…浮気…とか? さすがにそんなことは聞くこともできなくてただ静香さんの横顔を眺めてた 銀の事を思ってこんな表情をする静香さんが浮気なんてする人にはとても見えなかったしそれにこんなこと思うのもバカだと思うけど銀を差し置いてまで浮気するような相手って…って思った それに静香さんと銀はきっとすごく仲のいいカップルだったんだ…お互いにお互いの事が大好きで…なのにそんな… 俺がじーっと静香さんの顔を眺めてたら静香さんが視線に気づいたのかこっちを向いて眉を下げたままニッコリ笑った 「銀は『あの人』のこと…言ってないのね…」 「あの人…?」 そう聞き返したけど静香さんは静かにほほ笑むばっかりで俺のその問いに答えてはくれなかった 「銀が言ってないんだったら私から言うべきじゃないわ…もうこれでおーしまい」 「…………」 そう言って静香さんは立ち上がってスカートをパンパンっと払って再度こっちを向いた 「銀、待たせてるんでしょう?すっかり話込んじゃったわ」 「あ!!忘れてた!!」 コーヒーショップに置いてきてしまった銀の事を思い出して大急ぎてベンチから立ち上がるとまた静香さんがふんわり笑った 「じゃあね、まなちゃん…私まだこっちにいるからなにかあったらまた…」 「あ、はい…今日は、ありがとうございました……」 そう言って静香さんと俺は別れた

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