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元カノと今カレ
まなちゃんは良い子だった
「ねーやっぱり変よねぇあの頭」
「昔からそうなんですか!?」
「……ううん、昔は普通に真っ黒で…でも私が中学卒業した時にはもうピンク色だったわ…」
昔の…楽しかったころの事を思い出してそんな事を言った
大概の子は今付き合ってる人の事を昔の恋人から聞いたら嫌そうな顔をしたりすると思うし私だってそんな出来た人間じゃないから銀の今付き合ってる人から銀の話しなんで聞いたら妬いちゃうだろうなと思った
でもまなちゃんはそんなことなくて楽しそうに嬉しそうに銀の事を話して、また楽しそうに嬉しそうに銀の話を聞いてくれた
……正妻…正夫か、とにかくそんな余裕って感じで妬いちゃうなんて思う私は大人げないかな…
でもまなちゃんの話を聞くと昔が思い出されて辛いというよりも懐かしい気がした
ちょっとだけ…ちょっとだけまなちゃんのまっすぐで純粋なところがまぶしくて羨ましかった…
昔は私もああだったのかもしれない…
「銀もね…昔こうやって男の人に絡まれてた私を助けてくれたんだ…」
「…………」
「懐かしいなぁ…」
まなちゃんは優しいからこうやってわざわざ私を追いかけてきてくれてしかも銀の話しを自分がしたら私が傷つくんじゃないかって思ってる
すごく優しくてまぶしくて……きっと『あの人』が大好きな……『あの人』が欲しがるタイプの子……
「…………あの…失礼かもしれなんですけど…なんで静香さんは銀とその……」
「別れちゃったか?」
「あ、はい…」
ちょっと笑みがこぼれた
まなちゃんはずっとこれが気になってたんだと思う
ずーっと話してる間中ソワソワして顔に聞きたい聞きたいって書いてたもの
遠くの方を眺めながらあの時の事を思いかえす
あまり素敵な思い出だとは思えないな…
あの時の銀の顔が今でも脳裏に焼き付いて離れない…
そしてその顔を思い出すたび胸がズキッ痛んだ
……正直銀とよりを戻せたら…ってそんな気持ちで会いに来た
今でも銀は私の事を一番に思ってて私がいないとだめでずっとずっと私の事を想って心を閉ざしたままでいるんだと思ってた
私はあんなにまっすぐだった銀をそうしてしまった罪悪感で4年間苦しんで、それでいてそう思うことで安心感を得ていたんだ
でも銀だって成長してちゃんと自分で壁を越えて大事な人だって見つけて……
悔しい反面それがまなちゃんで良かったと心から思った
「………私がいけないの…私が…あんなに愛してくれた銀を裏切ったから…」
「……?」
まなちゃんはきょとんとしている
きっとまなちゃんは私と銀はすごいお似合いで仲良しなベストカップルだと思ってるんだろうな…
自分でも私と銀はお似合いで仲良しなベストカップルだと思ってたもの…
まなちゃんは優しいから自分より私の方が今でも銀とお似合いだなんて思って銀がどれだけまなちゃんの事を愛してるかなんて気づけずに不安になってるんだ
優しいから私を傷つけたくはないけど銀を取られたくなくて必死にそれを探るけどそのことを私が嫌だと思ってないかびくびくしてる…
でもまなちゃんがまたこんなに不安そうにグルグル百面相するってことは銀は『あの人』のこと…話してないのね…
「銀は『あの人』のこと…言ってないのね…」
「あの人…?」
やっぱり…
そう思うと銀もなかなか変わってないんだなーって嬉しかった
銀は悩みなんてなさそうで飄々としててでも頭も切れる食えないやつだと思われがちだけど本当はすごくまっすぐで素直で甘えん坊でわかりやすいとても脆くて弱い人…
…………
もうこれ以上銀の事を想うのはちょっと辛いかな…
まなちゃんのまえなのに危うくちょっぴり涙が出そうだった
「銀が言ってないんだったら私から言うべきじゃないわ…もうこれでおーしまい」
「…………」
まなちゃんはちょっと不服そうな顔をしてる
「銀、待たせてるんでしょう?すっかり話込んじゃったわ」
「あ!!忘れてた!!」
でもそんな顔をハッとさせて立ち上がって慌てだした
銀がこの子の事好きなのよくわかるなぁ…
「じゃあね、まなちゃん…私まだこっちにいるからなにかあったらまた…」
「あ、はい…今日は、ありがとうございました……」
まなちゃんは…まなちゃんだけは…銀から離れないで…
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