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その頃銀は…
さかのぼること2時間と30分…
「………ごめんなさい……」
「…………」
「あ…」
静香にまなの事を説明して諦めて帰ってもらうつもりでまなも連れてきたコーヒーショップで一通り話を終えたら静香が泣きながら走って出て行った
胸が痛まんと言えばうそになる
4年前とはいえ静香の事が好きやったわけやし…
それに今も全くその感情が0になったかと言われたら怪しい…
でも嘘のない事実なうえ今はまなが一番大事やしまなを手放すつもりも静香とよりを戻すつもりもないんやからあとは静香に自分で立ち直ってもらうほかなかった
でもなんで3年も後になって……
ギリッと唇を噛む
本当に嫌な忘れたい思いでやった…
まなと一緒になってやっと忘れられると思うたのに…こんなタイミングで…
まなは心配そうにきょろきょろして追いかけなくていいのかって顔をしてたけどそれは静香のためにもオレとまなのためにもならん
だからそんな事はしなかった
「お、俺っ!!ちょっと行ってくる!!」
「えっ!?まな!?」
でもそうやってじっとしとったら突然まなが走って店を出てった
止める暇もなくてただ茫然として人ごみに混ざってく元カノの後姿とそれを追う今の恋人の背中を見送った
「………はぁ……」
一瞬追いかけようかとも思ったけど静香に気があるわけでもないのに結果として今の頭の中でいろんな考えがぐしゃぐしゃになってる静香と会うかもしれない選択はできるだけ避けておきたかった
まぁいざとなったらまなに電話したらええんやし…
そのまま再度座ってたソファに腰を下ろしてエスプレッソをすすったら隣の席にまなの鞄とそのポッケから覗くスマホが見えた
「…………」
またため息が漏れる
見たところ鍵から定期から財布まで何でも中にはいっとった
そもそもまなだけ置いて一人で帰るつもりはないんやけどやっぱり連絡が取れないのは不安やった
まぁ気長に待っとったらええわ…
そんな甘い考えから1時間
まなはいまだに帰ってこんかった
もう店も閉まり始めて外に出されたしまなの鞄があるせいでどこかに移動することもできん
「………はぁ…」
もうタメ息しか出んかった
適当にスマホを弄って時間を潰すけどなかなかまなは戻ってこない
……どこまで行ってん…
ちょっとイラついてそろそろ探しに行こうかなんて思ったとき
「銀」
後ろから誰かに声を掛けられた
余裕で楽しそうでオレが世界一嫌いな声やった
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