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銀と金

こうしてオレは静香と付き合うことになった 静香は春から高校に行って学校自体は離れたけどオレは授業が終わると毎日静香を高校まで迎えに行って静香と一緒に帰った 毎日楽しかったしなにより充実感があった 「静香~今日寄りたいとこあんねん」 「そっか!!行こうよ!!久々に部活なくて時間あるんだしさ」 お互い名前で呼び合うようになってオレはタメ口で話すことも許されて デートだってキスだって何度もしてオレが中3になるころにはそういうことをするようにもなった お互いにお互いが初めてで静香の家の両親が旅行で留守って言うベタな状況の静香の家で初めてを迎えてめちゃくちゃ気持ち良かったのを覚えてる ……静香が気持ち良かったかはわからんけど… そうしてオレは中3、静香は高2の夏休み、付き合って一年とちょっとが立った時 兄貴の金がふらっと家に帰って来た オレの兄貴はなんて言うか自由?な人で大学こそ全国的に見ても有名なとこに言ったけどしばらくするとその大学をやめて突然日本縦断するわ、とか言い出した 嘘かホントかわからない日本縦断の後もふらふらいろんな仕事でそれなりのとこまで行っては飽きたってやめてを繰り返してたけど実家に金をせびりに来たりなんかはなかったし危なっかしいながらも自立してたから放任主義なうちの親は兄貴にうるさくはいわなかった なんて言うか楽観的な人だった… オレと顔が瓜二つで良く美形双子みたいでうらやましいわ~なんて言われて… 顔がよかったからいろんなところに女がいてその女の家を渡り歩いて生活してるようなそんな人だった オレは別にそれを特になんとも思ってなかった そんなの人それぞれだし実際オレも静香と会わなかったらそんな風になってた気がする… とにかくそんな人だからオレも中学上がったあたりから数えるぐらいでしか会ってなかったんだけどそんな兄貴が久々に家に帰って来た この時は別に普通の兄弟だったから久々に帰ってきた兄貴と一緒に飯食ったりテレビ見たりして仲良くそれなりに楽しくやってた 「兄貴、オレ今から出かけるから戸締りしてな?多分泊まるから晩御飯も自分で適当にしといてや」 「なに、銀友達?」 「いや、彼女やけど?」 たまたま今度はうちの両親がいない日に静香のところに行く約束があって兄貴にそう言った 彼女がいることを別に隠したいわけでもないから素直に答える 「………銀彼女とかいたんだ…」 「あれ、言わんかったっけ?」 「聞いてない聞いてない」 そんな会話をしてちょっとだけ静香の事を話してオレは家を出た 兄貴が楽しそうな悪い笑みを浮かべてることにも気づかなかった… 「へぇ~…銀の彼女かぁ…いいなぁ……」

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