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優しくてやきもち妬きで甘えん坊の可愛い彼氏
その日私は銀と待ち合わせしてた
デートだった
始めは銀に結構強引に告白されてキスされて全然わからないままに付き合うことになったけど銀がすごくうれしそうな顔をしてるから断れなかった
簡単に「頬付クンの事好きな子に言ってあげなさいよ」って言えるはずだったのになぜか銀の屈託ない笑顔に胸がドキドキして、そうやって付き合ってるうちいつの間にかホントに銀のことが好きになった
………変な格好じゃないかな…
今日だって新しく買ったワンピースを着て髪も巻いてみたりした
自分がここまで銀を好きになるとは…
始めは中1のくせに先輩への挨拶すらちゃんとできないちゃらちゃらして生意気な新入生だと思った
いっつも別の女の子と歩いてるし誠意も感じられない
そんな新入生に一言ガツンッと言ってやるつもりで声を掛けたのに結局言い負かされて悶々とした気分にさせられたのを覚えてる
なつかしいな~もうあれから2年もたつんだ…
そう思ってたら銀が走ってきた
「ぎーん、こっちー」
「ゴメン、兄貴とちょっと話とって…」
「兄貴?お兄さん帰ってきてるの?」
そう思えば銀も身長が伸びた…
私と出会ったときは身長160cmぐらいですでに同年代の男の子よりも大きかったけどもう今は175cmぐらいって言ってたっけ?
私よりも大きくなった
それにしてもお兄さん…帰ってきてるんだ…話でしか聞いたことないけど…
「一週間前ぐらいにフラッと帰ってきてん、今家におるで」
「え~ちょっと会いたい…かも…」
「……今度な…」
「それ次帰ってくるのいつよ」
付き合って何個かわかった事がある
銀は大人っぽい反面、気を許した相手にはすごく甘えん坊だった
よく手をつなぎたがったり、一緒に寝る時も抱き着いて寝たがったりそれを嫌がると不満そうにしたりしてた
そしてすさまじくやきもち妬きだった
私はテニス部で3年生が引退した6月からキャプテンをさせてもらってる
だから男子テニス部のキャプテンなんかと話す機会が増えたりした
もちろんやましい気持ちなんて微塵もないけど銀は私が自分の知らないところで男子と二人話してるのが嫌らしくてそう言うのを見るたびにむすっとして機嫌が悪そうにしてた
きっと学校が違うから学校の中での私を知らないせいもあるんだと思うけどものすごくやきもちを妬いた
……私的にはちょっと嬉しかったりもしたんだけどね
私だってやきもちを妬くこともある
銀はモテるしいっつも高校の前まで迎えに来てくれるから同学年の子や先輩や後輩なんかが銀を事をみてカッコいいって言ったりしてることもある
だから銀がやきもちを妬いてくれることに安心したりもした
「…静香?」
「え?あぁ、なに?」
「今日どこ行きたい?」
「あーそうねー…」
ぼーっと昔の事や銀の事なんか考えてるうちに話が進んでたみたい
銀はいつもデートのたびに私にこうやって何がしたいか聞いてくれた
優しくてやきもち妬きで甘えん坊の可愛い彼氏
「じゃあ…今日は銀の行きたいとこに行きたいかな」
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