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兄・金

「へぇ~…銀の彼女かぁ…」 今朝銀の鞄から抜いておいたケータイの写真を眺める 長い黒髪の優しそうで清楚な感じの女の子だった 飛びぬけてめちゃめちゃ美人って感じじゃないけど清潔感があってきれいで穢れのなさそうで一途な…そういう感じ… …うーん……いいなぁ…… にーっと口角が自然と上がった オレあれなんだよね、昔から…ずーっと…隣の人が食べてるものとか友達の持ってるおもちゃとか欲しくなるタイプ…… だって腹立つじゃん? 弟の銀が兄であるオレより良い物持ってるなんて って言うかそもそも銀に必要ないでしょ? あ、別に彼女ちゃんの事好きとかそう言うのじゃないよ? ただなんかお互い愛し合ってます!!みたいな感じのカップルがオレみたいなクズ一人に影響受けて壊れるのってなんか面白いし… まぁ一番は銀がどうなるか見てみたい オレの弟だから?もうオレそっくりでめちゃくちゃ可愛いし?泣いたりしないかな~ オレに寄ってくる女なんて軽そうでバカでクズみたいな女ばっかりだった もう一回穢れの無い『カノジョ』の写真を眺める こういう子の方が脆くて崩れやすい…それに銀だってより傷つくでしょう? いいねぇ…… 銀の部屋の銀のベットに寝そべって心地いい気持ちで銀の部屋を見渡した きっとオレの知らないところで楽しいことをいっぱいしたんでしょう 部屋には彼女との写真やきっと彼女がくれたんであろうアクセサリーなんかが飾られていた 銀はオレみたいになるんだと思ってたんだけどなぁ… 準備は万端だった 今日は彼女ちゃんの誕生日で銀はそれをサプライズで脅かす予定らしく今日は朝早くからいろいろ買いに行ったりプレゼントを受け取りに行ったりしてた こっちで作ったセフレの子に車出させて銀と一緒に回ってやってくれって頼んだし 銀はきっとまだしばらくは帰ってこない… まぁいざとなったら足止めしてもらったらいいし… メールもさっき彼女ちゃんに送った 銀のふりしたら一発だった ちょっと関西弁めんどくさかったけど… 彼女ちゃん、きっと不安で待ってたんだろうにすぐに 『もちろん!!』 って返事が来た きっともうあと10分もしないで来るはずだ そんな事を想ってたらぴんぽーんってチャイムが鳴った ニッコリ笑って銀のベットを軽く慣らしてから立ち上がる このベットで銀も彼女ちゃんとヤったのかな… 銀が昨日そわそわしてオレに「戸締りしてや」って言いに来たのを思い出した ゾクゾクするね… ゆっくりした足取りで玄関まで歩いた かわいらしいピンク色の服を着た女の子の影がそわそわしながらすりガラスの向こうに立っているのが見える 「……銀の彼女…ね…」 もう一度小さい声でそうつぶやいてぺろっと唇を舐めてから笑顔を作ってドアを開けた 乱暴はしないよ?………できるだけね……

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