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彼氏の兄

「これ…って…」 手が無意識のうちに震えた その後も金さんは何枚も銀がその女の人と写ってる写真を見せた その女の人が乗ってる車で話してたり、一緒にランチしたりしている そして極めつけは銀がその女性と一緒にアクセサリーショップで嬉しそうな顔をしてる写真だった 私と一緒のときだって銀なかなかあんな顔しないのに… 怒りとか悲しいとかそう言う感情の前に脱力してしまった 金さんが私が座ってるベットの横に腰を下ろす いつもなら立ち上がったりするんだけど今はそんな気力すらななかった 「さっき友達から送られてきたんだ…」 「………」 銀が…そんな… 金さんが私の肩に手を置いて自分の方に抱き寄せる あからさまに悲しいって言うような表情をしてた 「悲しいよね…ずっと恋人だと思ってた相手に二股かけられてたなんて…」 「………」 驚きすぎて声も出なかった 銀からの愛を疑ったことなんてなかったからショックが大きかった 「でも……別に浮気相手って決まったわけじゃ…」 「じゃあ友達とアクセサリーショップいってプレゼント買ってあげたりするのかな?」 「それは…」 「現に銀は君の誕生日に他の女の子と買い物に行ってるんだよ?君の事なんて忘れて…」 「………」 何も言い返せなかった 銀はホントに私の誕生日、忘れちゃったの…? 去年銀が祝ってくれたことを思い出した まだ私があんまり銀と付き合うことに対して乗り気じゃなくてでも銀は私より年下で中学生でロクにお金もなくて何もできないのに私のために一生懸命デートプランを練ってくれた… そんな銀なりに頑張ってプレゼントもくれてそうしてくれたことが嬉しくてちょっと楽しいなんて思ったりもして… 来年も一緒に祝おうねって約束した でも…でも実は心のどこかで銀を完全に好きになっちゃいけないって思った… 銀はモテるから…女の子がいつもたくさん集まっててかっこよくて面白いから いっつも私なんかより合う人がたくさんいていつか裏切られて捨てられて…傷つくかもしれないって思ってた… なのにいつの間にか完全に好きになってて… 金さんが両腕を私に回して抱き締めた 私はもう抵抗もしなかった 「オレだったらどう?」 「………」 「顔も銀と似てるし、静香ちゃんが銀を忘れるために利用してくれたらいいんだ」 「………」 金さんが真剣そうな声でそう言ってくる 私は嫌だともわかったとも言えなかった… 金さんが腕に力を入れてとさっと私を銀のベットの上に押し倒す ベットから銀の匂いがした… 私が…もっとこの時銀を信じてあげていれば……

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