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運命の人
そうしてオレは高校生になった
ちょうど3年前くらいかな…静香に会ったのも…
『銀…大好きよ…』
ズキッと胸が痛んだ
あの日から毎日同じ夢を見続ける
「あ、銀くん、高校も一緒だね…」
「せやな…」
3年前もオレのとこに着て同じような事を言った女がまたそう言った
そう言えばこいつは抱いとらんなぁ…
そんな事を想いながら別にそいつをどうするわけでもなく歩いた
何となく3年前と同じように冷めた気分だった
「でも…銀くん第一志望って静香さんのいるとこじゃなかったの…?」
「あー…落ちた」
「落ちたって…」
そう、オレは静香の行った高校には行かなかった
試験こそ受けたけどなにも書かずに帰って来た
特に理由はないけど強いて言えば静香に会いたくなかった
気まずいとか嫌いだからとかそう言うのじゃない
怖かった…
またあんな顔であんなことを言われたらと思うと怖かった
それぐらい静香のあの言葉はオレにダメージを残した
あれからずっと考えたけど結局どうしたらいいかわからない
何人も女を抱いたし男なんかを抱いてみたりもした
そうやっていろんな『玩具』を試したけど前みたいに忘れることはできなかった
胸の奥の方にぽっかりと穴が開いてしまったようだった
前…静香とデートで映画を見に行ったときのことをぼんやり思い出した…
確かタイトルが『運命の人』っちゅうありがちな題名で有名イケメン俳優と美少女コンテストの準グランプリかなんかの女が出とるありがちな感動系の恋愛映画やった
確か最後に俳優の男が病気で亡くなるんやったっけ…?
オレは特になんとも思わず見とったけど静香はそれを見てボロボロ泣いてたのを覚えてる
その後は行ったレストランで静香がこんなことを言うとった…
『『運命の人』ってね!!二人いるんだって!!』
『…はぁ?』
『一人目で愛することと別れの辛さを学んで二人目で永遠の愛を知る!!雑誌で読んだの!!』
『へぇ…』
『ホントなんだから!!だからきっとあの女の人にはもう一回運命の出会いが残ってるわ!!』
『アホくさ…じゃあ男の方はどうなん?二人目はどうするん?』
『え?あ…えーっと…』
『……アホくさ…』
『もう、いっつもそう言う事言う…男の人は天国でもう一人と出会うの』
『別の女と?死んでも節操ないなぁ…』
『違うよ!!あの女の人が天寿を全うしたらもう一回男の人と出会うの!!』
『……なるほど…』
その時オレはその話を適当に聞き流してたけど静香の話やとこれが一人目なん…?
こんな思いせなあかんのん…?
もう一度恋愛して誰かと真剣に付き合おうなんて思えんかった…
静香…オレもう二人目なんていらないねん……
その後しばらくしてその映画の続編が公開されたけどそれをオレと静香が見に行くことはなかった
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