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銀のために
「だめだ……」
「うーん…今の学は確かにあんまりかわいくないかも…」
「……うるさい…」
「あ、でも弱ってる学って言うのはなかなか萌えるものが…」
「うるさい…」
あれから数日考え倒したけどだめだ…どうしたらいいのかさっぱりわからない…
銀はやっぱりあれから学校に来なかった本当は家に行ってあげたかったけど行ったところで気の利いたことは言えない
俺がどんなこと言ったって俺は銀みたいな体験したことないんだから説得力のないうわべだけのきれいごとみたいになる
そんなのを繰り返し考えてる…
こんな時静香さんなら…銀と同じ痛みを体験した静香さんなら気の利いた説得力のあることを言ってあげられるんだろうな…
そう思って余計へこんだ
銀…
「学くん?」
またそう考えてへこみながら勝手についてくる志波と帰ってると声を掛けられた
一瞬銀かと思ったけど違う…
これは…
「金さん…」
「先週ぶり~」
初めて会った時と同じ人当たりの良さそうな笑顔で近づいてきた
でももう俺はこの人のこれは演技だって知ってる…
金さんはオレの後ろにいた志波に視線をやった
「…オレ学くんと話がしたいんだ~……」
「………」
「帰ってよ、邪魔だな…」
ニッコリと笑顔でそんな事を言った
志波は動かない
「えー…やだなぁ~俺学が銀くん意外と二人っきりとか心配で心配で眠れなくなっちゃうな~…」
「……君はもっと物わかりがいい子だと思ったんだけど?」
「それは見当違いかも…」
志波と金さんはお互いにこにこしながらそんな事を言いあっている
「……銀の…話なんだけどなぁ…」
「………」
金さんが少しだけこっちに視線をずらした
前もこんな事があった…それでその後銀に冗談交じりに知らない人について行っちゃダメって言われた…
でも…
……金さんに頼めば銀にもう近づかないでいてくれるかも…
そんな考えがどこかにあった
金さんだって銀のお兄さんなんだからちょっとぐらいそう言う気持ちが残ってるって信じたかった
銀のために…俺が何かをしてあげたかった…ちゃんと銀を支えてあげたかった…
そしたら銀に堂々声を掛けて彼氏として…恋人として支えてやれるって思った…
どこかで俺はまた自分は銀の痛みをわかってやれないから…対等じゃないから支えてやれないって思ってたんだと思う…
いつも銀は助けてくれるのにこんな時に何もできない…だったら静香さんの方がって…
だから…原因を解決してやれれば…俺だって銀と対等に…
「………わかりました…」
「学!?」
「へぇ…学くんは物わかりがいいんだね」
「………」
銀が震えながら俺にしがみつくみたいにして話した様子を思い出した
俺が守るんだ…俺が…銀のために…俺だって何かできるんだ…
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