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銀の『恋人』は…?
「学くんはさ、銀と静香ちゃんのことどう思う?」
金さんはニコニコと笑顔を崩さないままそんな事を聞いてきた
椅子に座って長い脚を組みながら笑顔を崩さない
「どう…って…」
「学くんは銀の『お友達として』銀の元カノの静香ちゃんと銀のことどう思うかな?って」
「………」
金さんは俺の事を銀の友達だと言った
俺が銀と付き合ってることなんてわかりきってるはずなのに全然知らないみたいなそぶりで話す
銀と関わらないでくださいって言いに来たはずなのにいつの間にか金さんのペースになってしまってた
「ねぇ、どう思うの?」
「それは…」
金さんは興味津々って言う感じで身を乗り出して俺の答えを待ってた
「……仲のいいカップルだったんだな…って……」
「うん、そうだね?」
うんうんとわざとらしいぐらいに金さんが頷く
「そうだよね、俺もそう思うな、仲良しで静香ちゃんも可愛くてお似合いって感じだったし、銀年の割に大人びてたから年上の方が気が合ったのかもね?そう言う意味でもお似合いの『ベストカップル』だったと思うな~別れちゃうなんて残念だったよ」
「………」
金さんは意味ありげに笑って俺を見ながらそう話した
自分でもわかってることを改めて他人にそう言われるのは嫌な感じだった
金さんが椅子から立ち上がってゆっくり部屋の中を歩きながら続ける
「そういえば、静香ちゃん銀に会いに来たんだってね?まだ銀の事思っててやり直したいって…けなげだなぁ~」
「………」
「銀もさぞ嬉しかっただろうね…」
「………」
いっつも周りに鈍いって言われて自分でも多少それを自覚してる俺がありありとわかるくらい金さんは露骨に嫌味を言い続けた
でもここで俺が何を言ってもしらばっくれられるのがオチだから黙ってた
「でもねぇ…銀どうやら今付き合ってる人がいるみたいなんだ~…だから静香ちゃんと3年越しで仲良しに戻れそうだったのに一緒になれない…」
「………」
「ねぇ、学くん?銀の付き合ってる人誰か知らないかなぁ?」
「………」
ぼすっと金さんは俺の隣に腰を下ろして俺の肩に腕をまわしてきた
ふわっと金さんの香水の匂いがまとわりついて「ねぇ…」って声が耳から離れない
わざとやってるってわかってるのに銀と釣り合ってないって他人に言われてる気がして息苦しかった
自分で思って自己嫌悪になるのと他人に言われるのじゃやっぱり違う…
体中から嫌な汗が噴き出した
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