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違い
「まな、ごめんな?オレやっぱり静香と付き合うことにしてん?」
「!?」
「やっぱまな男やし、静香の方がかわええし?やから別れて?」
「……やっ…」
金さんがまた銀の声をまねてオレに囁いてきた
ズルい…銀の声なんてズルい…
涙が止まらない
「ねっ?銀にこんなこと言われたらやだよね?」
「うぅ…」
やだ…銀にそんな事言われたくない…
金さんはよしよしって優しそうな顔で俺の体を撫でてきた
最低だってわかってるのに感覚がマヒして縋りたくなる
撫でてくる手も、声も銀みたいだった…
今度は金さんの手が服の中に入ってくる
ホントはそのまま楽になってしまいたかった
もしかしたら銀が静香さんとよりを戻してしまうかもしれないっていう最悪の展開ばっかり想像しちゃってだったらって…銀に言われて傷つくより先に自分から離れてしまった方がって思ったりした
でもきっと今そうしてしまったら俺は銀が俺より静香さんを選んだ場合よりも後悔する…
銀を最後まで信じきってやれなかったってずっとそう思い続けることになる…だから…
だから今にも崩れて縋ってしまいそうになる理性を一生懸命集めて気をしっかり保とうとした
「っや、だ…」
「………」
「触ら、ないで…」
金さんの手首を握って必死に抑えた
声も上ずって、涙も止らなくて、でも銀を思って耐えた
銀はあんなこと言わない…銀は俺が男だからどうなんてそんな事言わない…俺はそんな銀が好きなんだ…
金さんの体を一生懸命押して逃げようとしてたら金さんが口を開いた
もう笑っていなかった
「じゃあさ…学くんは静香ちゃんに勝てると思うの?」
「………」
「かわいくてけなげで一途で銀の事が大好き…しかも女の子で銀の事を昔から知ってる…」
「………」
「学くんと静香ちゃんならんでて10人男がいたら10人全員静香ちゃんを選ぶよねぇ?」
「………」
「銀だって男なんだよ?学くんも…」
「………」
「いい加減諦めろよ」
ぎゅっと唇を噛む
わかってる…そんな事…
金さんはイラついてるらしくチッと舌うちしてる
怖かった
でも銀はそんな事気にしないって言ってくれたんだ…どんな女の子より俺が好きだってそう言ってくれたんだ…
「や、だ…」
「まだ言う…別にいいだろ、銀もオレも同じだ」
「ち、がう……」
同じなわけない…
「同じじゃ、ない…」
「うるさい!!」
「!!」
がんっと金さんの手が俺の顔のすぐ横に打ち付けられた
ベットがぎしぎしなる
金さんは歯を噛みしめてなぜか苦しそうだった
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