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甘くて、柔らかい、ふわふわ

「じゃーねー、学くんありがとね~」 「え、あ、はい…?どういたしま、して?」 金さんはぴゅーっと嵐のように去っていった なんで感謝されたんだろう…? オレにそう言う前にも銀になんか言ってた気がしたけど聞こえなかった 「………」 「………」 銀も俺もお互いポカーンとしている 「まな…兄貴に何もされなかったんよな…?」 「う…うん…」 「痛いこととか…やらしいこととか…」 「されてない…」 「……兄貴は何しに来たんや?」 銀より少しだけ早く正気に戻った俺が銀の顔を見ると銀は目をぱちぱちと瞬かせてなんだか可愛かった でもそれと同時に銀と久々に会えただとか、銀が静香さんよりも俺の事を選んでくれただとか、いろんな気持ちが涙と一緒になって溢れてきた まだ銀はポカーンと金さんが出て行ったあとのしまったドアを眺めてる 「……ぎ、ん…」 「う、わっ…!!」 胸の奥のところがきゅぅぅんっとなって涙がブワッと溢れて恥ずかしいとかそういう気持ちもなくなって思わず銀に飛びついて押し倒してしまった ぎゅうっと銀の胸に顔を押し付ける 銀はびっくりしたみたいだったけど何も言わずにずっと頭をぽんぽんと優しく撫でていてくれた 胸がもっときゅうっとなる 「まな…静香とのこと、不安な思いさせてゴメンな…」 「……うう、ん…」 「兄貴になんか言われたんやろ…?なのにオレの事信じてくれてありがとう…」 「……………う……ん…」 もっともっといろんな感情でいっぱいになって銀をもっとぎゅうっと強く抱きしめた 銀もそれに返してくれるように強く抱き返してくれる 暖かくて、幸せで、安心した 「……まな…」 「……ん…」 どちらともなくキスをした こんな時でもどきどきしてぎゅっと目を強くつぶって唇も硬く引き結んだままになっちゃったけど銀はそんな俺を見てフッって笑ってくれた気がした 甘くて、柔らかくて、なんだかふわふわした

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