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保護者猛
「別荘!!ズルいっす!!」
「別にまだ行くなんて言ってないだろ…」
「えぇ~!!行こうよ~海行きたいよ~」
「おれも一緒に行きたいッス~!!」
「………」
放課後、先輩を迎えに行ったらどこから聞きつけたのか若葉もやってきていてじたじたと地団太を踏んで別荘に行きたいとねだられた
オレにねだられてもどうすることもできないんだが…
「おれも若葉ちゃんと海行きたい~!!」
「おれも健斗さんと行きたいッス~!!」
「はぁ…」
3年の教室の前で先輩と若葉がやだやだとだだを捏ねる
ため息が漏れた
「そもそも…まだオレ行くって言ってないですからね先輩…」
「や~だやだ~!!」
「そんな子供みたいなことしないでください、帰りますよ」
「やだ~!!帰らない~!!猛が若葉ちゃんも連れて行くって言うまで帰らない~!!」
「ダメです」
「…じゃあおれも……」
「お前掃除当番だとか言ってただろ、教室戻れ」
「そんなぁ…」
しゅーんとしょげた犬の耳が見えそうな若葉はちょっとかわいそうだったけどでもオレ一人で決めれる話しじゃない
こころを鬼にしてドアにかじりついて離れまいとする先輩を引っぺがし学校からでた
校舎の中ではやだやだ騒いでいろんなところにしがみ付いて帰ろうとしなかった先輩も校舎から出るとまた若葉と同じようにしゅーんとしょげてとぼとぼ後ろをついてきた
………なんか悪いことしてないのに罪悪感……
「海…行きたい…」
「………」
「だって猛遊んでくれないもん…」
「………」
「おれよりバイトの方が大事なんだ…」
「はぁ…」
後ろで紺庄先輩の言う言葉がちくちくと胸に刺さって思わずため息が出た
自分でも先輩に甘いな~っていう自覚はある…
「先輩…そんなに海行きたいですか…?」
「!!行きたい!!」
「一人でどっか行ったりしませんか?」
「しない!!」
「……じゃあ…わかりました…」
「いいの!?」
「………明日志波先輩に聞いてみます…」
「やったぁ!!」
「た・だ・し!!」
「?」
飛び上がって喜ぼうとする紺庄先輩をけん制する
紺庄先輩はばんざいの体勢で静止してきょとんと首をかしげた
「若葉はダメです」
「えぇ~」
「若葉まで面倒見きれないし第一ご厚意で誘ってくださった志波先輩に迷惑です」
「志波くんはそんな事言わないよ~」
「ダメです」
「でも…」
「ダメなものはダメです」
「………」
「わかりました?」
「……ケチ…」
「じゃあ今の話しはなしです、バイト行きます」
「!!わかった!!行く!!」
「……じゃあそういうことで」
そう言って先輩と別れた
先輩はしゅーんとなんだか元気なさそうだし若葉にも悪いと思ったけど、さすがにただでさえ志波先輩と面識の少ないオレのさらに後輩の若葉を突然連れて行きたいなんて言うなんて失礼だ
二人には悪いけど…
はぁ…っとため息が出た
バイトのシフト変わってもらわないと…
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