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志波(しなみ)先輩

「………」 「………」 猛さんに一緒に『別荘』とかいうのには連れてけないって言われた… いきなり知らないやつ連れてったら迷惑になるだろって… 「………」 「………」 わかってるけど…おれだって猛さんと一緒に海行きたい!! 「……ねぇ…」 「!?」 「ねぇ、なに?なんか用?」 「………」 「結構前から気づいてたけどさ…君だよ、そこのちっちゃい…」 「ちっちゃいって言うな!!」 思わず隠れていた電柱から身を乗り出して反論してしまう ハッとしてすぐに電柱の後ろに隠れなおした 「いや…意味なくない?それ…ていうか丸見えだし…」 「………」 おれが尾行していた金髪クルクル頭はそう言った 猛さんが迷惑になるからダメって言うならその本人から許可をもらえばいいんだ だからこの先輩を尾行してた なんだか恥ずかしくなってそっと電柱から覗く 猛さんたちはこの人の別荘に泊まるらしい… 「あれ?君猛の後輩だね?確か名前は…よつ…」 「若葉ッス…」 「そうそう、若葉くん」 「………」 その先輩は何が面白いのかヘラヘラ笑ってた すげ…この人目青い…髪の毛もおれや猛さんのと違ってなんか…透けてる金髪だ… 「で、何?」 「え…あ、う…その…」 思わず見とれてしまっててなんだか恥ずかしくなる いつもそんなことないのになんだか言いたかったことが頭から抜け落ちて言えなくなってしまった 「あ、あの…猛さんたちと…その…行くって…」 「あぁ、お泊り?まだ返事聞いてないけどね」 「そ、それ!!あの…おれも…」 「行きたいの?」 ぶんぶん首を縦に振った 先輩はうーんとちょっと考え込んでからおれをじーっと頭のてっぺんからつま先まで見た 「いいよ」 「……え…」 「きみ、かわいいし来てもいいよ?」 「………」 あんまりあっさり返されてしまってびっくりした 断られると思った…てか、かわいいから…? 「じゃあ、連絡先教えてよ細かいこと決まったら連絡するから」 「え、あ…はい!!」 そうやってその日はその先輩とメアドを交換して帰った し…し、なみ?……ノア先輩でいっか…変な人… でもとにかくこれでおれは猛さんたちと海に行けるんだ!! その日はスキップしながら帰った

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