503 / 1015
203号室【ノア、若葉】
「うぅ…嫌われたッス…」
「もう、うじうじうるさいな…後でエキストラベット持ってきてあげるからベットのらないでよ」
「だげるざんにぎらわれだッズ~!!!」
「うるさい!!」
「ヒィッ!!」
部屋の隅っこでじめじめと床にのの字を書きながら泣く若葉とか言う猛の後輩を怒鳴った
どうやらこいつは俺が怖いらしい…
今もびくびくしながらぐずってた
「そんなに猛猛言ったって猛は健斗と付き合ってるんだよ?」
「………知ってるッス…別に好きとかそういうのじゃないッスもん…」
「…ハァ…」
至極どうでもいい…
猛はなかなかいい男だと思うけどああいうストイックな感じは彼氏とかだとすごくめんどくさいからイヤ~
セフレとか受け付けなさそうだし…えっちもヘタそうだし…なんかいろいろうるさそう…
そんな事より今俺は銀くんと学の部屋に仕掛けておいたカメラと盗聴器が全部反応してくれなくてがっかりしてた
せっかく仕掛けたのに…まぁさすが銀くんってかんじだけど…そんな鋭いところも好き♥
そうやってせっかく今夜銀くんと学がするであろうねっとりした性行為を想像して幸せな気分に浸ってたのにまた部屋の隅からうじうじした声が聞こえてきた
まったく…俺と同じ部屋をこんな嫌がるとか…腹たつ…
「ちょっと…」
「ヒィッ!!」
「まだ何も言ってないししてないでしょ、やめてよそういうのイライラする…」
「う…うぅ…」
「ほら、海、行くんでしょ?立って着替えなよ」
「………」
そう言うとさっきまでびくびくしてたチビは急にきょとんとした表情になった
「なに?早くしてよ、おいてくよ?」
「お、怒ってないんスか…?」
「はぁ?誰に?君に?」
「……はい…」
「なんで?」
「の、ノア先輩…おれの事きらいだから…」
「はぁ?」
確かにちょっとイラついてたし若葉くんの事めんどくさいなって思ったけど別にそんなに嫌いってわけじゃなかった
なんせまだしっかり知り合って数週間、交流したのなんて何時間とかだし…
若葉君は相変わらずきょとんとした顔でこっちを見てた
「別に…嫌いじゃないよ…」
「嫌いじゃないんスか?」
「逆になんで嫌われてると思ったか聞きたいよ…」
「ふふっ、嫌いじゃないんスか…」
「………」
ククッて笑う若葉くんをちょっとかわいいと思わなくもなかった
学ほどじゃないけど…
「おれ着替えてくるッス!!」
「はやくしてよ」
「はいッス!!」
そう言って若葉くんはわたわたと部屋についてる脱衣所に入っていった
なんかめんどくさい子つれてきちゃったなぁ…
はぁっとため息が出る
銀くんにカメラと盗聴器は取られちゃうし、うるさい子と部屋一緒だし…散々だなぁ…
でもなぜかちょっとウキウキしてる自分がいた
………変なの…
ともだちにシェアしよう!